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草むらに、ぼくは寝かされていました。 空は薄曇りでしたが、それでも寝不足の眼にはまぶし…
ぼくはストレッチャーを押してもらいながら、道の駅みたいな土産品のたくさん並んだ店内を見…
奥座敷の壁際に構えられたオルガンのペダルを手持無沙汰にさわっていると、おふくろがフスマ…
お年寄りむけの洋品店には、日焼けした花柄のブラウスがかけられていた。 フリーマーケット…
横たわる背中にかすかに感じるツンツンとした無数の突起が、明と暗であったり、動と静であっ…
ぼくの目の前には、本格的なフェイスガードをした大柄な白衣の中年男性がすこしかがんで立っ…
顔は面長だった。 眼は切れ長だった。 大切な一球のようだった。 白い帽子のイニシャルは確かめられなかったけれど、エビ茶色だった。 ずいぶん使い古していて、浅く深くシワが入り、要するにくたびれていた。 胸もとは、校名のアルファベットが読めないぐらいに汚れていた。 歓声は聞こえなかった。 逆に、静まり返っているように思えた。 ザザザザザとボールが勢いよく転がる音がして、ぼくの視野の至近距離で腰を落として構えていた彼は、その一球の意味を全身に感じながら、慎重にまわりこんで正面