マガジンのカバー画像

車いすからベッドへの旅

152
毎日、天井を見つめている。ベッドで横になっていると、ぼくの六畳の部屋半分と、ヘルパーさんが仮眠する隣の四畳半三分の一ほどしか視界には入らない。 かぎりなく狭い世界の中で、なにを考…
運営しているクリエイター

#古武術介護

まっすぐに

 初めて彼女がわが家を訪れたとき、これまであまり経験したことのない感情に、ぼくの気持ちは…

春を待つ手紙

 政治に携わる人の演説を聴いて、投票したい気持ちに駆られたことがあまりない。 思想をこえ…

自分

 昨夜、とっくに結果はわかっていても、まだ観ていなかったお正月の大学ラグビーのビデオを眠…

予告

 ぼくの初チャレンジの「長編になってしまった小説『恋人つなぎ』」ですが、投稿予定の一月中…

時間の奥行き

 何日ぶりだろうか。 毎日のように投稿をつづけていたのに、サポーター(ヘルパー)さんに入…

アルコール物語

 ブーが残念がって、ぼくのアタマをポンと叩いた。 「せっかく、ぼくはやっさんがいちばんに…

しかたがない

 なんとネガティブなタイトルだろう。 我ながら、書き進めたくなくなりそうになった。 おたがいに、マイノリティーの背景があって、中身は異なっていても通じあっていたサポーター(ヘルパー)が、年内で大阪を離れていく。  家庭の事情だから、しかたがない。  いつか書いたように、そばで入力している人の雰囲気によって、モチベーションが上がったり、やる気を削がれてしまったり、その存在は意外と大きい。  いろいろとツッコミを入れながら、ときどき息が止まりそうになる意見をはさむ彼は、not

約束

 晩春の夕闇の中で、風と光の濃淡を織りまぜながら、枝いっぱいに薄紫の花房をわさわさと揺ら…

ことば

 最高の一日だった。  自分を確かめられた一日だった。  考えさせられる一日でもあった。 …

影と陰

 天井を正面に置いて、仰向きになっていた。 夕食のあとにうたた寝をしていて、「いま」へ意…

間(ま)

 ぼくの中で親友と呼べる三人のうちのひとり「中村ブー」が、妙にしみじみと言ったことがある…

商店街のジングルベル

 この間、久しぶりに生麩まんじゅうを買いに橋を渡った。 以前はゴールデンウィークから九月…

投げかける

 あの日、ぼくは扇町公園での集会に参加していた。 山にかこまれた施設で、生涯を過ごすつも…

ホワイトボード

 この一週間、ホワイトボードの購入品の欄にずっと消されないものがあった。  それは「だしの素」。 若いころは、濃い目の味つけが好みだった。 けれど、だんだんと出汁をきかせたものに惹かれるようになってきた。  かといって、上等な昆布が常備されているわけではなくて、スーパーの棚に並べられている一般的な「だしの素」でコトを済ませている。  ひょっとしたら、出汁にこだわることがコスト的にもお得なのかもしれないけど、そのあたりは研究の余地がありそうだ。  それにしても、腕利きの家事サポ