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サークル・既刊紹介

同人サークル「サ!脳連接派」(さのうれんせつは)はSF・ファンタジー系のテーマアンソロジーを刊行するサークルです。2016年夏コミ(C90)から活動しています。
本noteはサークル主宰の大戸又が執筆しております。(生産者の顔写真)

ここではサークル刊行物の紹介も兼ねて過去の書誌情報をまとめておきます。購入可能なものは通販リンクを貼っておきますので気になる作品があったらリンク先から購入のほどをよろしくお願いしヤス。
(Boothの匿名サービスを使って発送するのでプライバシー的にも安心です)

刊行物

アストロノーカ×SF小説『宇宙的な農家で野菜を育てるっていうこと』

宇宙的な農家で野菜を育てるっていうこと表紙


2016年 コミックマーケット90にて頒布。
原作「アストロノーカ」は一昔前まで知る人ぞ知る良ゲーと言われていた、PlayStation向け育成ゲームで、その名の通り「アストロ(宇宙)」で「ノーカ(農家)」をするゲームです。
畑を開墾し、宇宙野菜の種を植え、野菜を狙って現れる害獣「バブー」(公休・祝日は彼らもお休み)と対決し、宇宙ネットに繋いでは癖の強い相手とメールしたり、電子掲示板を見たり……
可愛げのあるキャラクターたち、面白おかしい宇宙野菜の数々、当時としてはかなり画期的だった「遺伝的アルゴリズム」を採用したバブーのAIなど、多面的な魅力に溢れたゲームでした。
原作のSF設定を拡大解釈して、好き勝手に書いちゃおうということで本アンソロは生まれました。

収録作
あいのさいのう ポストエンド的野菜生活 (伍藤潤)
ペドロのゲリラレディオ (大戸又)

在庫なし。原稿データが吹き飛んだので復刊も難しいのが残念。
リメイクされたら続編のアンソロ作りますネ。


『チャイナ・ミエヴィル トリビュートアンソロジー』

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2017年 コミックマーケット92にて頒布。
私がもっとも敬愛している作家チャイナ・ミエヴィル氏へのリスペクトを込めて作ったトリビュートアンソロジー。
チャイナ・ミエヴィルはイギリスの作家で、SF、ファンタジー、変則ミステリ、怪奇幻想からヤングアダルトまで非常に多彩なジャンルの作品を長編・短編問わずに書いてます。
代表的長編は『ペルディード・ストリート・ステーション』『都市と都市』、短編集は『ジェイクをさがして』『爆発の三つの欠片」があります。題材に合わせて巧みな語り口を用意する作家でもあるため、トリビュート寄稿者の方々にはネタ出しでかなり負担をお掛けしたかと思います。(すまない、でも一緒に苦しんでくれてオレハウレシイ……)
これっぽっちの紹介では私のBig Loveが伝わらないと思うのでそのうち紹介記事を書きます。
表紙はフリー素材をコラージュして作りました。(生産者の顔写真)
コンセプトは化粧品のパッケージ。セクシーな配色を目指しました。

収録作
エピソード (渡辺零)
キリキリ (さんかく)
The City & The City of the Dead (腸部滴)
虚構たち (伍藤潤)
バナナ戦争 (ねこたろう)
トンボ (山本情次)
WWW (さんかく)
手記 (大戸又)

在庫なし。復刊はどうかな。新刊が出たらまた記念アンソロ作ります。

以下はミエヴィル著作のAmazonリンク。アフェリエイトなし。
買ってくれると空に浮かんだ俺の笑顔が見えるともっぱらの噂です。



Bloodborne×和風超伝奇アンソロジー『古今本朝獣異草子』

古今本朝獣異草子表紙


2017年 コミックマーケット93にて頒布。
フロム・ソフトウェアが開発を手掛けたアクションRPG『Bloodborne』の舞台を日本に移し、和風伝奇ものをサブテーマに選んだブラボ×和風超伝奇アンソロジー。通称「和ブラ」。
2016年頃から石川淳の長編・短編を乱読していたこともあり、和風伝奇ものの企画がやりたくてしゃーなかったタイミングでした。
ミエヴィルトリビュートの打ち上げでマイメン伍藤さんに「ブラボの和風解釈アンソロとか……どうスか?」「え、やるやるやる!!」と二つ返事が返ってきたのをいいことに、ちょうど視界に入ったねこたろうさん、ジョージさんも勧誘して、ここにアンソロ企画相成ったという次第。
「日本舞台で自由にどうぞ」とレギュレーションをゆるく設定した結果、示し合わせてもいないのに各作Bloodborne以外のゲームとのマッシュアップにもなっていた、という不思議なシンクロを見せたアンソロでもあります。
表紙は京都旅行に行ったときに撮った伏見稲荷の写真とフリー素材で作りました。(生産者の顔写真)

収録作
吐れ、手繰れ (大戸又) Bloodborne×石川淳文体
玄霧忌譚 (伍藤潤)   Bloodborne×SIREN
ジュラシック・トゥーム (ねこたろう) Bloodborne×ディノクライシス
北帰行 (山本情次)     Bloodborne×The Surge (Deck13)

後述しますが本書収録の「玄霧忌譚」は著者伍藤さんの大幅な加筆修正を経て長編化しました。その頒布に合わせて本書も復刊。
朱色の小口染めを施し、初版より呪符感が高まりました。

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在庫あり。以下Boothから購入可能です。
https://walkingchair.booth.pm/items/722450
サンプル本文は以下からどうぞ。
https://www.pixiv.net/artworks/66488772



ドラゴンカーセックスアンソロジー『WHEELS AND DRAGONS』

ドラゴンカーセックスアンソロジー表紙


2018年 コミックマーケット94にて頒布。
ドラゴンカーセックスをテーマに、SF/ファンタジーの文脈で短編を書いてみようという発想から生まれたアンソロジーです。
「ドラゴンカーセックス」とは米国発祥のネットミームで、その名の通り、「ドラゴンが車と交尾する行為」を意味します。
起源はジョン・マーテッロ(John Martello)というイラストレーターの描いた複数のイラストで、これが米国のお絵かきBBSに転載されるなどして、後にミーム化していったものです。
弊サークルでも便宜上ドラゴンカーセックス(Dragon Car Sex)と表記していますが、本来は「Dragons Having Sex with Cars」「Dragon Fucking Cars」という表現になります。つまりDCSは和製英語というわけです。

本企画を思いついた当時について少し書き出そうとしたところで、はたとキーボードを打つ手が止まります。
そう、主宰の私が企画を思いついた瞬間をまったく覚えていないのです。
とはいえ無からドラゴンカーセックスアンソロジーの企画が湧き上がってくるものか。いや、あるかもしれないけど、それはちょっと直感に反する。
というわけで、最古のドラゴンカーセックスツイートを掘ってみました。

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えっ予想以上に古くない? 3年越しの企画とかもはや肝いりじゃん、どんな執念が貴方を動かしたの?
なんとかここから読み取れるのは、ドラゴンカーセックスを「性癖」と捉える気がないという点でしょうか。むしろ、ドラゴンと車という組み合わせに「ミシンとコウモリ傘との、解剖台のうえでの出合い」のようなものを感じていた気配があります。人様の性癖をシュールレアリスムの題材と捉えるのもどうかと思いますが、そこはリスペクトを込めたサンプリングと思っていただきたい。適当に茶化す気なら、半年間も土日捧げてないので。

さて、そんなこんなで立ち上がった本企画、竜の息吹をBless Youされたとまではいかなくても数々の幸運に恵まれたアンソロでもあります。
寄稿を依頼していたsanpowさんは、カクヨムに連載していた『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』で第6回ハヤカワSFコンテスト優秀賞を受賞してプロ作家になられて、受賞後第一作(非商業媒体)が本アンソロ収録作になりました。
装画を依頼した孫太夫重盛さんからは、コンセプトを完璧に理解した表紙イラストをいただきました。オーブリー・ビアズリーが美術編集を担当したことで有名な英国デカダン派文芸誌「イエロー・ブック」のオマージュです。
重盛さんの絵はダイナミックなポージングと情報量の刈り込み方がすごく巧みで、セクシーなんですよね。よかったらTwitterを見てください。
https://twitter.com/magogosigemori

また、これは刊行後の話になりますが、本アンソロから4作品が2018年日本SF短編推薦作リストに載りました。このリストは東京創元社が年に一度刊行している『年刊日本SF傑作選』の巻末に掲載されたもので、惜しくもシリーズ最終巻となってしまった『おうむの夢と操り人形』に載っています。
毎回楽しみなSFアンソロだったので書店で名前を見たときは怪鳥めいた奇声を小さくあげました。
なお、このシリーズは最近SFファンの間でプロップスを高め続けている竹書房からリブート予定とのこと。ビガップ竹書房。座して待ちましょう。

収録作(推薦作は太字表記)
五爪の竜 (さんかく)
ニライカナイより (さんかく)
私の優しくない運命 (kasorin)
竜とダイヤモンド (sanpow)
憎悪の器械 (山本情次)
思い出をありがとう (渡辺零)
Dragon Rules Everything Around Me (大戸又)

在庫あり。以下Boothから購入可能です。現在第三版。
https://walkingchair.booth.pm/items/965922
サンプル本文は以下からどうぞ。
https://www.pixiv.net/artworks/70020454

以下は言及した作品のAmazonリンク。アフェリエイトなし。
買ってくれると水たまりの油が俺の笑顔を象るともっぱらの噂です。



漂着物アンソロジー『Ghost To Coast』

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2019年 COMITIA128にて頒布。
テーマは漂着物。「どこか」に「なにか」が漂着するお話というレギュレーションで寄稿者の方に依頼しました。
漂着物とは「われわれの身近」に「海の向こう」から「やってくる」もの。
こと現代において、これほど純粋に呪術的な過程を経て、われわれの手元にやってくる代物もそうないでしょう。
たとえば陸上生活において同じような過程を経るものとしては「間違い電話」や「誤配送」などが考えられます。こちらの意図しないタイミングで、勝手にやってくるものですね。
この偶然性は日常生活のなかにあって物語的であるため記憶に残りやすい。
そうした偶然に浜辺へ行けば出会うことができる。しかも配送してくるのは物言わぬ海、対話の成り立たない時化や台風などの自然現象です。
漂着物の観察収集を「ビーチコーミング」と呼びますが、ビーチコーミングとはつまり未知の物語に触れる、読書に近い体験と言えるかもしれません。

さてここまで来ると、弊サークルのアンソロジーはシュールレアリスム的にも扱えて、解釈の幅が広そうな題材を選んでいるらしいことが分かります。つまり私は手を変え品を変えミエヴィルトリビュートを繰り返しているわけです。拙作「ヤムとメラハ」はそんなミエヴィルオマージュをこれでもかと詰め込んだウィーン舞台の都市奇譚。今でも割と気に入っている作品です。

表紙はこれまたフリー素材をコラージュして作りました。(生産者の顔写真)
コラージュで書影を作るのはとても楽しいので、架空の書影集とかもいつか作ってみたいですネ。

収録作
海の贈り物 (さんかく)
砂漠が沈んだときに (ねこたろう)
先生と聖骸と私 (sanpow)
ヤムとメラハ (大戸又)
R・T・S  #1 宇宙の流儀 (山本情次)
R・T・S  #2 吠え猛る物共 (山本情次)

在庫あり。以下Boothから購入可能です。
https://walkingchair.booth.pm/items/1369101
サンプル本文は以下からどうぞ。
https://www.pixiv.net/artworks/74647131


メギド72二次創作小説『せめてあなたが、もしもわたしが。』

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2019年 コミックマーケット96にて頒布。
弊サークル初の個人誌。
題材は絶望を希望に変えるRPGことソーシャルゲーム『メギド72』です。
ストーリーと設定は目の前のデバイスで検索してほしい。「三界に共通する資源を巡る神と悪魔の代理戦争に巻き込まれた若き王ソロモンが多様性豊かな仲間の悪魔たちと冒険を繰り広げる」ぐらいの要約でよいでしょうか。
ゲームの端々から一昔前のRPGの匂いを感じますが(個人的には特にPSゲーム『ヴァルキリー・プロファイル』の気配を感じる)ストーリーがとにかく面白いです。2020/5/8時点で8章1節までストーリーが進んでおり、本誌の内容は6章3節が終わった時点をベースにしています。
内容はハルファスとゼパル(表紙の二人です)を中心に、王都の祭で催される演劇にソロモンたちが協力するお話。登場メギドはハルファス、ゼパル、アンドロマリウス、サルガタナスがメインで、次点でイポス、フルカス、アイム、アマイモン、ヴィネ、パイモン、バルバトス、ブネ、モラクス、マルコシアス、ウェパル、バラム、サタナイル、マルファスなどが出てきます。

この本は大阪のオンリーイベントにも頒布しに行ったんですが、そこでベレトのコスプレした方にサンプル本文に仕込んでいた「シュガシュガルーン」ネタを言い当てられてとても嬉しかった記憶があります。
ゲームをプレイしている方から頂いた感想も結構高評価で、割と手応えがありました。次書くならフリアエメインかな。

装画をお願いしたのはエビコさん。輪郭線の省略の仕方と色の置き方がセクシーなイラストをお描きになられています。「ほろびむ」という漫画が二作あり、スゲーーーーーーーーミエヴィルっぽいので是非読んでください。
https://twitter.com/abcodef
https://abco.booth.pm/items/1692079
https://abco.booth.pm/items/1825600

メギド本挿絵っぽいやつ

ちなみにこんな感じの挿絵風のイラスト支援もいただきました。
本編でもアンドロマリウスとサルガタナスもっと絡んでほしいです。

在庫あり。以下Boothから購入可能です。
https://walkingchair.booth.pm/items/1497167
サンプル本文は以下からどうぞ。
https://www.pixiv.net/artworks/76077193


都市アンソロジー『Too Tall Tales』

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2019年 コミックマーケット97にて頒布。
都市をテーマにしたアンソロジー。過去最厚の372ページで厚切りベーコンぐらいあります。めちゃめちゃ分厚くていろいろしぬ。
幸か不幸か、Pre-COVID-19 都市景をギリギリのタイミングで封じ込めたアンソロになりました。
もう皆さんおわかりでしょうが、都市といえば、そう、ミエヴィルですね。
デビュー作『キング・ラット』に始まり、『ペルディード・ストリート・ステーション』『アンランダン』『都市と都市』『クラーケン』『言語都市』と、長編作品では特に「都市」が強いモチーフとして前景化しています。
都市それ自体を描くこと、都市に住まう生物を描くこと、都市生活のスケッチ、あるいは都市と郊外の対比など、アプローチの仕方は無数にあり、それは本アンソロ収録作にも遺憾なく反映されています。

収録作
あの街の子ども (綿部滴)
ウォーター・プルーフ・サーヴィター (kasorin)
カルコサの玉座 (ねこたろう)
古い街から新しい街へ (さんかく)
ダウンタウン・ティターニア (大戸又)
アメリカン・ゲーム・プロトコル (山本情次)
シカゴの冒険 (sanpow)

ホラーがあり、童話風があり、クトゥルフものに、異種族もの、アーバンファンタジー、近未来SFに、ほら話があります。
そして装画は孫太夫重盛さん。題名にもなっているほら話(tall tale)をモチーフに、ほら吹き男爵a.k.aミュンヒハウゼン男爵が都市のスカイラインを昇っていくこれまたバッチリな絵に仕上げてもらいました。
裏テーマは雑誌の「ニューヨーカー」。フォントと色調をアメリカのオールドスクールに寄せて雰囲気を出してみたつもりです。

在庫あり。以下Boothから購入可能です。
https://walkingchair.booth.pm/items/1757029
サンプル本文は以下からどうぞ。
https://www.pixiv.net/artworks/78442687


Bloodborne 和風超伝奇長編小説『明治本朝獣異草子 幻夢抄』

明治本町修正版統合kopi-

2020年 コミックマーケット98(エアコミケ)にて頒布。
和ブラ本に収録されていた「玄霧忌譚」を著者伍藤さんが大幅に加筆修正を加えて長編化した本作。

Bloodborneの舞台を欧化明治期の日本に移し、神秘を司る書記官:墨州威吹(すみすいぶき)が垣間見るのは蒸気機関の発達にともなって移ろいゆく新時代の胎動と借り腹のように宿る魔の気配。
それらが奥能登の漁村と帝都をつなぎ、うねり始めるは因縁と策謀――

ウィリアム・ギブスンとブルース・スターリングが『ディファレンス・エンジン』で描いたような蒸気機関による技術的外挿風景を欧化明治の帝都に敷き、広がりゆく邪法・外法の影を追う諜報パートも魅力的な本作。
諜報と情欲、因縁に魔性が、彼岸と此岸を行きつ戻りつしながら、やがてひとつへ結実する。そんな長編小説になっております。
緻密なペン画が魅力的な装画はメグリム・ハルヨさん。アキタランドの現役ネクロテックエンジニアです。語るより、絵を見ていただいた方が早い。
https://twitter.com/megrim_haruyo

ちなみに表紙の左上で卒アル欠席者みたいな面をしているのは某ポプテ◯ピックのお二人。作中でも大変ファニーな活躍をするので私はとても好き。

わたくし大戸は編集と装丁を手伝いました。和風伝奇といえばクソデカ明朝体。菊地秀行作品、夢枕獏作品、山風作品の書影をズラッと眺め渡して、ギュッと目を瞑り、10秒ぐらいしたら浮かんできたデザインがこれです。
和ブラ本の再販に合わせて、朱色の小口染めを施しました。JUFU!

写真 2020-05-03 21 05 58


先日頒布したばかりなので勿論在庫あり。以下Boothから購入可能です。
https://walkingchair.booth.pm/items/2039559
サンプル本文は以下からどうぞ。
https://www.pixiv.net/artworks/81263431


そういえば昭和書体さんの鬼滅の刃フォントセット買った? 商用利用(=同人)できるプロクオリティの毛筆フォントが3000円で買えることマジでないから今のうちに買っておいたほうがいいよ。4フォント6000円は無惨様も日光浴するレベル。下記リンクの鬼セット、鬼セット2が該当セットね。
http://showashotai.cart.fc2.com/?ca=14


ひとまずはこんなところです。今年はあと2アンソロ出る予定です。
サ!脳連接派を引き続きよろしくお願いいたします。クケェ!!!!!!!


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