裏世界ピクニックアニメが終わって

2021年3月23日 14:56

　2021年1月に始まった『裏世界ピクニック』のTVアニメが12話で完結した。空魚鳥子の三ヶ月の旅と同様、放送期間もおよそ三ヶ月で、あっという間だったのに、終わってみるとぽっかりと何かが抜けたような、寂しい感じがする。

　あっ言い忘れたけど『裏世界ピクニック』はわたしが書いている小説です。原作者原作者。早川書房刊。

　三ヶ月があっという間だろうというのは最初からわかっていて、というのも三月下旬発売予定の原作小説6巻の原稿がアニメ1話放送開始時点でまだ64ページまでしか書けていなかったので、アニメ放送期間中は終始やべーという面をしていた。本当にあっという間だった。

　著作のアニメ化でさぞ浮かれているだろうと思われるのが普通だろうが、私はまったく油断できなかった。正直なところこの映像化企画はさまざまな要因でポシャり得ると思っていた。デリケートなテーマをいくつも扱っているから、アマプラやネトフリならまだわかるが、地上波のアニメと最初に聞いたときには、えっ本気ですか？と聞き返した記憶がある。

　しかし本気でしたね。12話走りきってくれました。ただでさえ困難な時勢の中、製作体制もかなり大変だったはずです。原作者からは見えない部分で関係各位の相当なご苦労があったことは想像に難くありません。佐藤監督はじめ、皆さん本当にお疲れさまでした。改めて、ありがとうございました。

　見てくださった方もありがとうございます。原作小説やコミック版に興味を持ってくれた人も多かったようです。原作者としてはもちろん原作に来てくれるのが嬉しいのですが、純粋にアニメを楽しんでくれた方もたくさんいました。どなたかの感想で、「何年か経ってから、そういえば昔、裏世界ピクニックとかいう変なアニメ見てたなあ……とか思い出しそう」みたいなことを書かれているのを見て、それはこの作品らしくてすごくいいなと思いました。同じクラスに変なやついたな、あいつ何だったんだろ、みたいな……。そういう感じの、ふと触れただけの人にも妙な爪痕が残るアニメだったのではないかという気がします。