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築古57年のマンションリフォーム

住み人と紡ぐ、たった一つのリフォーム物語

Vol.2 廃墟からの復活リフォームーI樣邸

女性の視点と感性で、デザインから現場監督まで
まるっとおまかせ、オールインワンリフォーム
ワレアレア合同会社 代表社員のエミリーです。

"住む人と紡ぐ、たった一つのリフォーム物語” では、私がこれまで
お手伝いさせていただいたお客さまの住まいのリフォーム
完成までのエピソードを交えながら、読んでいる方がリフォームの
ヒントになるような事や、へぇ~、現場ではそんな事があるのね、
といった事を紹介しています。

築57年。リフォーム歴無し最恐マンション

I樣が購入されたのは、少し高台の5階建てマンションの1室。眺めも良く、角部屋のお部屋は2面にバルコニーがある気持ち良い空間でした。
ただ・・・お客さま自ら「昭和の廃墟」と呼ぶほどの古さというより、汚さが強烈な部屋でした。I樣は、約10年前にご自宅マンションのキッチンリフォームをしていただいた方で、今回、不動産仲介さんから紹介されたリフォーム会社からの提案もあったそうですが、「この廃墟のリフォーム相談するには矢吹さんにお願いしたい!」という有難いお言葉と共に、お声を掛けていただきました。なので気心知れた仲でして、最初の現地調査はあまりの臭いにI樣とは、ざっと見てそそくさと帰るほどホントに廃墟感満載でした(~_~;

おまけにエレベーター無しの5階。解体した物の搬出だけでも、高齢化の波が押し寄せる職人さん達が、相当苦労する姿が目に浮かんできます。
今回はほぼ裸にするスケルトンリフォームになるので、解体材を運ぶも大変、建築に必要な資材を運び入れるのも、かなり負担になります。なので、私も上から降りる時は持てる分だけでも、と運ぶ手伝い(になっているか不明ですが)をしました。故に「最恐マンション」なのです。

設備機器の配置に頭をひねる

今回のご要望は令和の現代らしい、便利な暮らしができることが大前提。
何故かというと、洗濯機の置場が外に設定されていたから!!
今でも木造アパートなどで見かける、部屋の外に洗濯機を置くアレです。
時代だなぁとは思いましたが、分譲マンションでもそんな設定があったなんて!と長きに渡り数々のマンションリフォームを手がけた私でも初めてのケースでした。

という訳で、まず一番目は、洗面室を広げ、元々の洗面器の位置に洗濯機を配置して単独排水にし、洗面台の排水はキッチン側に繋ぐことにしました。
次に浴室。ユニットバスはまだ生まれて何年も経っていない時代、タイルの在来工法の浴室は大きな窓があって、ユニットバスに変更するには厄介な存在。しかし、最近は一戸建てでも窓を付けない浴室を希望する方もいるので、浴室にせっかく窓があるのだから・・・とは考えなくてもいいのかも。

ちなみにユニットバスは、東京オリンピックで予測される多数の来日客の客室を、過酷なスケジュールの中、ホテルニューオータニに納めるべく東洋陶器(TOTO)が開発したのが始まりで、今より洗練されたデザインの初代ユニットバスが、TOTOミュージアムに所蔵されています

出展元:TOTOホームページ
カラーリングとか、アイボリーじゃなくてこの方がいいね

幸い、このマンションの浴室は内寸が1650mm×1650mmのサイズがあったので、そこに入る寸法であれば取り付けられたので、少し小さくはなったけれど、コンパクトでお掃除しやすいユニットバスが完成しました。余った寸法には収納棚を設けて、脱衣バスケットやタオルを置ける、ちょっとした空間になりました。

最恐!Before-洗面器・・・明るくて良いのだけど
最恐Before<浴室> 窓が大きくユニットバスの納まりが悪い


さわやかな洗濯スペースに生まれ変わりました
ユニットバスの外に棚も設置できて収納が増えました

設備で頭を悩ませた最後の課題はキッチンでした。元のキッチンの大きさは1650mm。小さい上に元の位置のままだと、冷蔵庫も電子レンジの置場なども部屋の中央に置かざるを得ません。うーーーん、と考えた末に提案したのが下の案。大きな窓の前に配置するプランです。こうすれば1950mmになり、冷蔵庫スペースも隠せて、ちょっとしたカウンターを置くスペースも確保できるようになります。半分とは言え、窓を塞ぐことへのお客さまの反応が心配でしたが、すべての懸念を解決するこのプランをとても気に入っていただき、プランが決定しました。これにより、2口コンロしか配置できなかったところが、3口コンロにできて、料理好きのお客さまのニーズも満たすことができました。

配置をやりくりして生まれたプラン

マンションリフォームは制約が多く、プランに頭を悩ますことも多くありますが、こうして気に入っていただけるプランが出来た時は、心底悩んで良かった~です。

何年経っても「リフォームってすごい」と思う瞬間

こうして約1ヵ月半の工事が完了しました。今回はさすがに最初が強烈だっただけに、出来上がった時に思わず「リフォームってすごい」(まあ、実際には「リフォームすげぇ」だったんですが(;^_^A)と呟いてしまいました。生まれ変わった空間にI樣、とても気に入ってくださり、本当にやり甲斐がありました。
今回の床材は、イクタの銘木フロアー ラスティックのイタヤカエデを採用しました。オイル塗装風のUV塗装で、素足でも気持ちの良い肌ざわりの床です。

驚愕のビフォーアフター

もう、ひゃーーーーと言ってお客さまと急いで退出してしまったトイレ(汗)
でも、こんな風に変身しました
ここが
こうなりました✨
玄関方向・・もうキャーと言ってられません
アクセントクロスで空間を楽しくなりましたよ~
マンションに船底天井・・・時代を感じます(;^_^A
イタヤカエデの床がきれいでしょ
角部屋だから、キッチンで窓を塞いでも明るさ十分
シンプルなベッドルームでスッキリお目覚め

今回のリフォームでは、改めて職人さん方の頑張りに感謝してもしきれません。仕事だとは言え、階段だけで解体したものを運び、材料を揚げ、作業する。それゆえか、職人さん自身も変身した室内を見て喜んでいました。いつもこうして縁の下の力持ちのお陰でリフォーム工事が成り立っています。

リフォームを考えてお悩みの時は、是非相談してください。
素晴らしいチームと共に、あなたの住まいに幸せ運びます(^-^)

余談ですが・・・
この工事に入った頃、突然原因不明の股関節の痛みに襲われまして、階段を降りるのはまだ良かったのですが、昇るの動作をすると激痛が走って、ということが起こりました。よりにもよってエレベーター無し5階の物件のリフォームが始まった時だというのに、と、しばらく大変でした。
そして、整形外科の医師によって、まったく診断も定時された治療方法が違う体験をしました。最初の医師は、私の話を2/3くらい聞いた所で、「それは加齢(うむむ)による、腰椎圧迫から来る痛みなので、腰の牽引をしましょう」と言われました。一旦牽引して帰ったけど、これでは素人目に見てもすぐに回復するとは思えない。私は今日も明日も、現場の階段を昇らねばならないのに・・・と、他の医師の扉を叩きました。すると、今度は「よくある症状」として、注射と衝撃波のリハビリ治療を受けたところ、かなり痛みが軽減し、なんとか階段を昇ることができるようになりました。
大変な体験でしたが、こうして「誰に会うか、どこにお願いするか」によって結果が大きく変わってしまうことを身をもって体験しました。どちらの先生が正解ということはないのだと思いますが、その時点で私は後者の先生の診断と治療で助かりました。これは私にとっても、相手が求めていることを注意深く聞いて対応することの重要性の勉強になりました。
とにかく、今は治って普通に過ごせていますが、階段を昇らなくてはいけない物件の時にこういうことが起こる不思議も体験した、という長い余談でした(;^_^A

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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