春につなぐ
空が晴れ渡る。
澄み切ったその色に空が本当にあるのか不思議になる。
風がどこからか吹いて来て、
風の絵筆に雲を溶かし空に白を注いだ。
晴れ渡る空に白い雲。
やっぱりそこに大空はあった。
雪がいよいよ解けて土が大地からのぞく。
本当に春は来ているのかと辺りを見まわした。
春に繋ごうとして時折り降った白が、土のもつ色の強さをよりいっそう引き出そうとしていた。
風の絵筆に雲を溶かした白が引き出す、空の奥へと寄せる期待。
春への期待で溶かされた雪の白が透明で瑞々しい色を土に与えてくれる。
土の温かさを保つ色に包まれ育んでいた冬。
自然の豊かな季節の中に、確かに暮らしていると感じられる楽しさや喜びに心が湧く。
そしてその色を味わえる喜びに跳ね上がる。
鮮やかさと共に生きている日常があり、
冬のあいだに生き生きとした新鮮な色を準備して、
「春をどうぞ味わって。」と告げていました。
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