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“kakkoii”の誕生 -世紀末ボーイズトイ列伝-

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20世紀末に流行した日本の男の子向けおもちゃのデザインから、新しい男性のかっこよさについて考えます。
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#エクスカイザー

勇者シリーズ(4)「太陽の勇者ファイバード」(後編)

池田明季哉 “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 勇者シリーズ(4)「太陽の勇者ファイバード」(後編)■「武装」するロボットと脱税さて、それではモチーフについても論じていこう。今作において、ファイバードたち宇宙警備隊が身を寄せるのは「天野平和科学研究所」である。これは天野博士(ひろし、という人名であるが、おそらく学術博士でもあるだろう)によって設立された民間の研究所である。宇宙のマイナスエネルギーを観測した天野博士が、その災いから人類を守ることを目的として設立さ

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勇者シリーズ(4)「太陽の勇者ファイバード」(前編)

池田明季哉 “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 勇者シリーズ(4)「太陽の勇者ファイバード」(前編)前回はエクスカイザーが確立した勇者シリーズの基礎構造について次のように整理した。前身となる『トランスフォーマーV』においてジャン少年とスターセイバーが「子」と「父」の関係であったのに対して、コウタ少年とエクスカイザーは相補的な関係にある。本稿では、「魂を持った乗り物」という想像力の特徴を、その主体の曖昧さ、中間性・相互性に見出してきた。勇者シリーズは、完全に人間

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勇者シリーズ(3)「勇者エクスカイザー」|池田明季哉

池田明季哉 “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 勇者シリーズ(3)「勇者エクスカイザー」『トランスフォーマーV』では、ジャン少年という「子供」にとって、スターセイバーという人格を持ったロボットが目指すべき「大人」である、という父子の関係が確立されたことを示した。言い換えれば、これは「未成熟な主体」が「魂を持った乗り物」にアクセスすることによって成熟を試みていく構造の確立でもある。 この『トランスフォーマーV』に続いて制作されたのが、「勇者シリーズ」だ。「勇者

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