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 今、振り返る19世紀からの思想の歩み(8) もうこのままではダメだ。

 社会主義や議会主義を論じるとき、欠かせないのは、民主主義あるいは自由の問題であるし、法の支配であるだろう。それゆえ、ディスカッションというか、議論の交換を通じてより高い意識、より広く政治への参加を集めていくことが、意欲的に考えられていなければならない。
 しかし、20世紀前半に、世界大戦を2度も経るのである。そして、自由や民主主義が人々をとらえ、大きな政治的力として、万国に行きわたったとはお世辞にも言えない。何故なんだろう?これはそれこそ奥深い問題で、もちろん一朝一夕にまとめられるというわけにはいかない。

 思えば戦後の焼け跡を少しだけでも覚えており、ぼくは小学校を通して民主主義を教えられてきた世代だ。少なくても自分が接した小学校の先生は、民主主義を言っていた。しかし、数年後の中学校ではそうでもなかった。時代が激しく変わり、それだけ戦後が遠のいていったということだったろう。
 ぼくが1960年に中学校に入った頃、確かに60年安保の闘争はあったし、その後を語る事件は数知れない。国際的には、ベトナム戦争が特筆される。パリやアメリカでの学生闘争や、米国の暗殺、ケネディ兄弟やキング牧師のことを忘れる人はいるまい。キューバ危機(1962年)のこともある。ぞっとする。
 チェコスロバキアの「プラハの春」(1968年)は、社会主義に民主主義を取り戻そうとしたチェコ市民にソ連の戦車が襲い掛かるという、これ以上ない社会主義絶望の入り口だった。無論1956年のポーランド反ソ暴動やハンガリー事件も同様のソ連の軍事介入があったのだが、その時は西側に支援された反革命勢力の策動という社会主義(ソ連)側の説明にまだ動く流れが、例えばこの日本にも強くて、体制を変えるまではいかなかった。しかし、大きなクエスチョンをつけたことは確かだったろう。68年のチェコは、テレビ等の報道もあり、まさに時代のターンであった。
 そうそう、ビートルズを忘れてはいけない。この4人組は、自由を圧殺された世界にも自由の音色がどんなものか、その思想、その形態を沁み込ませ、既存のものを後方へ、明日へつながらないものとして、揺るぎない確信を若若しい世代と精神に与えたのだ。
 しかし、そのチェコも弾圧され、1989年の「ビロード革命」まで、チェコの人びとは、自由を奪われていったのだった。ぼくなりのマルクス理解を見事に覆す大事件だった。

 この中で第二次大戦を生のままで体験していない僕たち戦後っ子が戦前を忘れ、戦後しかれた民主主義を受け入れて深く深めなかったのは当然といえば当然だった。もちろんのこと、考究の頭や手を働かせた人たちはいたが、いわば賛成・反対の議論だけが先行する有様だったと言えるのではないか。つまり、真理を握る者あるいは説に識者の関心が集まり、誤解を恐れずに言うと、資本主義と社会主義という2大陣営が影を落としている。
 時代がとび21世紀に生きて、9.11を代表的にテロが行き交い、戦争が止まらない(例えば、ウクライナやパレスチナ)状況を現実にし、一向に明るい日が差しそうもない状況に、今にして思う。一体全体どこに問題があったのだと。それが判らないと、これからがないのではないか。 
 ぼくの考え、勉強してきたところでは、やはり19世紀後半、そしてロシア革命の思想が、結果として様々な思考錯誤を流産させたと思うのである。その間、帝国主義、資本主義は幾度も危機を生み出し、その度に新たな顔を見せた。そのことを思い、考えるのである。
 そして、ぼくの哲学は今、平和と和平の哲学(Philosophy of the world peace and for the world peace)であることを知るのである。
 

  和久内明(長野芳明=グランパ・アキ)に連絡してみようと思われたら、電話は、090-9342-7562(担当:ながの)、メールhias@tokyo-hias.com です。ご連絡ください。

【大事な附記】
今年(2023年、令和5年)は、病気(肺炎と気管支炎)で、ほとんど、生きるか死ぬかの体験をしました。まだまだ、前のようには行かないのですが、病中ベッドに張り付きながら思ったものです。23年間行ってきた9月11日の会〈9.11メモリアル〉を実行する力が無くなったのではないかと。新たな展開をするしかないと覚悟を決め、幸い準備してきたのですから、本年を舞台形式の最後にするということです。当日は、車の送迎で、何とか会場に着いたものの、座って動かないのが精一杯。しかし、です。最後にふさわしく、同時多発テロの犠牲者、戦争と平和という、今日につながる問題に、一流の腕と思考力、想像力を駆使する方々の熱演で、素晴らしい舞台空間となりました。ご来場の皆さまは無論のこと、感謝しきりです。ぜひ、下に掲げるユーチューブをご覧になって欲しいと思います!!

 1) 黙とう  22回を数えて、「戦争と平和」を改めて問う
  和久内明   https://www.youtube.com/watch?v=esDn8Rn3I3I 

2) 「無伴奏バイオリンソナタ」(第3番 1,3,4楽章 バッハ)  
  田澤明子   https://www.youtube.com/watch?v=iNxt05HqAIQ

3) 琵琶演奏 「風の宴~琵琶独奏の為の」(2002年) 
  塩高和之   https://www.youtube.com/watch?v=Jfe-9ZKQrWI 

4) 「二つの月」(作曲・塩高和之)
  塩高和之、田澤明子、津村禮次郎 
         https://www.youtube.com/watch?v=SJwonmmiqSE

5) 「良寛」第2部  
  津村禮次郎、塩高和之、中村明日香 
         https://www.youtube.com/watch?v=_e_3nHxrw8k

6) ギター、イラン打楽器、能舞のコラボレーション 
  「鎮魂、紛争犠牲者に捧げる」 山口亮志、蔡怜雄、津村禮次郎 
         https://www.youtube.com/watch?v=hrShTsizMHc 

                        以上、和久内明


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