見出し画像

タイムセール

私は週に一度、激安スーパーに食料品のまとめ買いへ行く。

そのスーパーを仮に激安スーパー"マルセ"としよう。

マルセスーパーは、週に二度ポイント3倍デーがある。

勿論私はそのポイント3倍デーに合わせて買い物に行く。

激安スーパーなので安いのだが、まとめ買いなのでかなりの金額になり、そしてかなりのポイントがつく。

私はそのポイントをチマチマと貯め、一気に使うのを楽しみにしている。

そんなポイント3倍デーのある日、いつも通りマルセスーパーへと買い物に行った。

その日はいつもより家を出るのが少し遅れてしまい、マルセスーパーに着いたのは10:30を過ぎていた。

店内にはいつも通りお得な商品がズラーと並んでおり、開店したばかりというのもあって物凄い人手で店内は熱気に満ち溢れていた。

"ゾロ目セール"という77円セールも繰り広げられており、店内には色鮮やかなペンで「77円‼️‼️‼️」と書かれた値札が至る所に貼ってあり、ビックリの安さに私の心もこうなり→(⊙⊙)!!!!!、鼻息の荒い状態で、77円商品を片っ端からカゴに入れていった。

11時になり私の買い物も中盤に差し掛かった頃には、早朝から買いに来ていたお客さんがチラホラと帰り出し、店内が少し空いてきて幾分か買い物がしやすくなっていた。あと少し買い物をして帰ろう・・・と思っていた時、やや興奮気味の声で店内アナウンスが流れた。

「おーーまたせ致しました‼️‼️‼️‼️

11時になりましたので、タイムセールを始めます‼️‼️‼️」

いつも11時前には店を出ていた私は、タイムセールがある事は知らなかったので、興味本位でアナウンスに耳を傾けていた。

「まずはーーーーー‼️‼️‼️

果物コーナーから‼️‼️‼️‼️‼️

今日のタイムセールはーーーー‼️‼️‼️

スイカ‼️‼️‼️‼️‼️‼️スイカですよっ‼️‼️‼️

カットスイカがなんと280円‼️‼️‼️‼️」

と、その瞬間店内にいたお客さんがスイカを目指して大移動し始めた。

「数に限りがあります‼️‼️‼️‼️

果物コーナーは店頭ですよー‼️‼️‼️‼️」

とお客さんの心理を煽る様にアナウンスし、しかしすぐに

「次はーーーーーー

野菜コーナーから‼️‼️‼️‼️‼️

きゅうり‼️‼️‼️‼️‼️

きゅうりが一袋5本入って98円‼️‼️‼️‼️」

ようやく手にしたカットスイカを握りしめたまま、今度はきゅうりをめがけて大移動が始まった。

「まだまだいきますよーーー‼️‼️‼️

次はお肉コーナーから‼️‼️‼️‼️

今日のお肉はーーーーー

豚バラ肉‼️‼️‼️‼️‼️

なんと300グラム1パックが250円‼️‼️‼️‼️」

やばい!!!!お肉は絶対欲しいわ🔥🔥🔥てな感じのオーラをビンビンに放った人達が、スイカときゅうりを握りしめ今度はお肉コーナーへ移動してきた。

早朝の買物客が帰り、空いたと思っていた店内のどこにこんなに沢山の人がいたんだ・・・とウィンナー・ハムコーナーにいた私は呆然としながらその様子を眺めていた。

そんな私に危機が襲ってきた。

「お次はーーーー

ウィンナー‼️‼️‼️‼️‼️‼️

ウィンナーが1パック298円‼️‼️‼️」

やばい。

アイツらがここに来る。

あの大群がウィンナーめがけてやってくる。

ヌーの大移動バリにやってくる。

戦利品のスイカときゅうりとお肉を握りしめ、血走った目の先にあるのはウィンナー。

その中心にいるのは私。

やばい。殺られる。

とりあえずタイムセール品のウィンナー1パックを私も頂き、お菓子コーナーへと逃げ込んだ。

お菓子コーナーでホッと一息ついてると、すぐさまアナウンスが流れた。

「お次で最後です‼️‼️‼️‼️

最後の品はーーーー

お菓子コーナーから‼️‼️‼️‼️‼️

コアラのマーチがなんと‼️‼️‼️‼️‼️

1個68円‼️‼️‼️‼️‼️」

その瞬間、私の目の前にいた店員さんが布をファッサッと取り、布の下からは山積みされたコアラのマーチがデーーーンと登場した。

ヌーの目がギラッと光り、ウィンナーコーナーからコアラのマーチをめがけ突進してきた。

大草原でヌーとコアラの戦いを見るかの様に、ヌーはコアラをガシガシと掴んではカゴに入れている。

すんでのところで中華コーナーに逃げ込んだ私は、購入予定だったコチュジャンを握りしめながらヌーVSコアラの戦いを目の当たりにし、1分もかからないうちにコアラが全滅したのを傍観して、本日のタイムセールは終了した。

いやぁ、凄かった。

けど、食料品の値上がりが凄いから同じ主婦として気持ちはめっちゃわかると思った。

スイカもきゅうりもお肉もコアラのマーチも実は少し欲しかった私。

次は私もヌーになろうと誓って店を後にした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?