「うまく言えねぇが、そういうんじゃないんだよ。お前の存在力は」唯一正体を知る4/1吸血鬼は、ただ「安心しろ」といった。
長編ファンタジー小説 獣の時代〈第1部〉第一章 鵺の夜③
雨は降り続いていた。
小雨だが雨に変わりはない。
会社の駐車場の定位置に車を止めた後、砥上は途中のコンビニで買ったチョコレート味のプロテインバーの封を切った。
今朝は音楽を聞く気にもならない。
閉ざされた無音の空間でじっとしているのは、心地よかった。レース仕様のレカロシートは身体にフィットして、包まれるような安心感がある。
音の無い中でもそもそと口を動かしながら、フロントガラスに形成される水滴をた