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私の故郷は鷲神社

神社境内の景色と

玉砂利の上を歩く音。

ザッザッ…あの涼しげな音色は

穢れを祓う音という。

私の最も古い記憶

境内の静かでヒンヤリした空気...

なんだろう落ち着く。


小さい頃に住んでいた
家の前にある神社

物心つく前から
私にとっての遊び場だった。

虫取り、メンコ、コマ回し、凧揚げ、
ボール遊び、鬼ごっこ、花火etc…

外遊びの記憶は、神社と共にある。


今も近くを通ることがあれば

少し遠回りしてでも寄り道して

お詣りする事にしている。

『お久しぶりです。』

から始まるお決まりの挨拶と

『こんな事がありました…』

近状を振り返る。

ここ数年は悩みを唱えることが多くて

『...頑張ってみます。』

が締めの言葉になっていた。

境内の奥は木々が生い茂り
夏はセミが沢山鳴いていた。

富士塚もあって、よく登っていた。

こんなに低かったっけな?
なんて思いながら、久しぶりの登頂。

お祭りの季節になると

神楽殿は祭囃子で賑やかになる。

祭BGMはテープ音源が多い現代…

今も生演奏の伝統を守り続けている。

観て聴いて…好きだったな。

マイナーな話をすれば

ビートたけしさんのご家族(特に父)とも
縁のある神社だったりする。

お兄さんを見かけた事もあった。


住んでいたアパートはもう無くなり
町は少しずつ変わっても

境内の景色は
昔から殆ど変わっていない。

唯一、違和感を感じることがあって
狛犬がもっと小柄で黒かった気が...

神職さんに何となく聞いたらやっぱり

あの違和感は間違いじゃなかった。

大昔はここが海岸で
島の根のような土地だったことから

"島根"という地名になったんだとか。

ここが海とは想像もつかない

この神社があったから知った歴史。

そういえば...

神社参道の入口にある
せいべい屋のじいちゃんばあちゃんが

『昔、店の前の道には川が流れていてね…』

むかし話をしてくれた事を思い出した。

毛長川と繋がる川だったのだろうか?

残された写真を見たり、話を聞いたり...

当たり前のことだけど
時代ごとに町の景色は違って

どの建物よりも以前に
神社はそこに存在していた。


あの神社も、この神社も

今でこそ町の中にひっそりと…

けど昔はこの土地の中心だった。

そんな想像の中の景色を思い浮かべると

そこに神社がある意味

見え方、視点が変わって面白い。


神社の楽しみ方の1つ

神社が好きな理由の1つ

御祭神はヤマトタケルなのに

何故に白鳥ではなく鷲なのか?

大鷲尊や鷲大明神

別の呼び名も鷲と呼ばれていて

素朴な疑問だった。


近くのお寺
普門寺には鷲大明神が祀られており

そこからの分霊…
という言い伝えがあるそう

けどどうも後付けのような気がして

ピンと来なかった。


他に訪れた事のある鷲神社がある。

わりと近い場所に鎮座している

花畑の大鷲神社と浅草の鷲神社

ワシとは読まずオオトリと読むけれど

同じ"鷲"の社号をもつ神社

そこと照らし合わせた時

謎の扉が開いた。


浅草 鷲神社では

二柱の御祭神を祀っていて

ヤマトタケルより先に

アメノヒワシと記載がされていた。


天岩戸隠れの際に現れて

木綿(ゆう)を作ったとか

弦楽器を奏でたとされる神様だ。

天日鷲命

弦楽器に鷲が止まった事で付いた名…

"鷲"の名を持つ神様と繋がった。


調べると北関東を中心に

鷲神社または"鷲"の付く神社は
数多く存在していて

アメノヒワシを御祭神として
祀っている神社が多い事を知る。

アメノヒワシを祖神とする
阿波忌部族が房総半島へ上陸し
関東に勢力を伸ばした歴史…

それと関係しているのだろう。

アメノヒワシを祭神とする鷲神社

ヤマトタケルを祭神とする鷲神社

又は両方を祭神とする鷲神社

神社によってストーリーは違うだろうけど

ワシとオオトリが混同して

今に至っていると思われる。


もっと調べれば

他にも何かが見えてきそう…

また機会があったら深掘りしよう。

産土神社の素朴な疑問

元はどちらだったのか?

真実は解らないけど、謎は1つ解けた。

私の故郷

鷲神社


御祭神

ヤマトタケルは、私の産土神。



氏神や宗派は変わる事があっても

産土神は生涯変わらない特別

生まれもっての守護神的な存在。


散歩や旅先でヤマトタケルに出逢うと

何となく親近感に近い心持ちで

境内での時間を過ごす…

景色も違って視えたりして面白い。


次はヤマトタケルの旅の思い出

綴ってみようかな。

いつか訪れようと…
未だに行けていない場所もあったな。

これを切っ掛けに訪れてみるのも

良いかもしれない。

たこせん

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