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キャンプの夜は炎と光
四大元素霊という言葉がある。水、風、土、火の四要素の背後にあるものを指す。オンディーヌ、シルフィー、グノーム、サラマンダーと言っても同じことである。
キャンプに行くということは、そういうものと触れ合うことでもある。雨や水仕事に近い場所に行き、朝な夕な風に吹かれ、床の上ではなく土の上を歩き、火を起こしてこれで炊事したり暖をとったりする。
文明の利器に浸透された日常生活からよりプリミティブな生活様式に戻って、その不便さを愉しむ。それがキャンプだ。
いかにもアウトドアや野外生活を愉しんでいる風でもあるが、そこには、元素的な世界にたまには身を置きたいという無意識的な欲求が現れているようでもある。
だいたい、火や水や風や土を愛でるというのは、ある種の神事によく出てくる現象である。『千と千尋の神隠し』のモデルともなった遠山郷(長野県南部)の『霜月祭り』を見よ。
キャンプではおよそ神事や宗教的行事と縁がないと思われる人々もそういう遊びを愉しんでいる。どこかそれが人間の本源的な欲求と結びついているからである。
どんなにキャンプが流行の遊びになろうとも、炎や光を供給するギアが進歩しようとも、始原的なものを求める意識が変わることはない。
LEDがどんなに明るく、電池が長持ちしたとしても、ガスランタンやガソリンランタンが消えないのはそういう理由からである。四大元素的なものを人は欲しているのである。
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