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双眼鏡の専門誌

双眼鏡の専門雑誌は見当たらない。それだけコアなユーザーが限られているということだろうか。雑誌『BIRDER バーダー』で特集が組まれたことがあるほかは、紙のメディアで見かけた記憶がない。

カメラ雑誌とて『アサヒカメラ』の休刊が象徴するように苦しい状況にあるから、双眼鏡のように少ないユーザーを対象とした機材にページを割くこともない。

天文学系の専門誌で双眼鏡を特集的に扱ったことはあるのだろうか。自分はそのようなケースについては知らない。天文学専門誌のビジュアルを飾るのは、高性能で高価な天体望遠鏡による写真だ。

そういう具合で双眼鏡の専門誌というものが世の中に見当たらないので、ついついこんな内容の雑誌を妄想してしまうのである。

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双眼鏡の専門季刊誌『BINO』(ビノ)
2021年冬の号

第1特集  「北大西洋上のカール・ツァイスとWWⅡのドイツ海軍」
第2特集  「双眼鏡メカニズム図鑑/ポロとダハの名機を完全分解する」
保存版資料集「主要双眼鏡全100機種のスペックと光学系カタログ」
メーカー探訪「富士宮光学」
鳥見歳々  「伊勢湾の干潟の野鳥を訪ねて」
星見王国  「冬の星座、星団とメシエ天体を総覧」
読み物   「伯父のヒストリック双眼鏡を再生する」
グラフィック「マルチコートの性能を比較する」
技術論   「双眼鏡に絞りは必要か」
双眼鏡紳士録「使い倒した双眼鏡あれこれ」

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てなところか。双眼鏡を専門的に扱った雑誌や文献が非常に少ないのは、双眼鏡に対する知識の落差ゆえという気もする。

映画やドラマでは、双眼鏡の視界を表すものとして、二つの円の一部が重なった図形を使うことが多い。しかしこれは完全に間違いであって、正しく調整された双眼鏡ではそんな風に見えることはなく、円が一つなのである。

映画の撮影監督がそういうことを知らないとは思えないのであるが、この誤りは洋の東西を問わず非常に広く見かける。それくらい双眼鏡というものはなめられているのかもしれない。

倍率が高ければ性能的にも優れているというような誤解も多い。実際に手持ちで使えるのは8~10倍が関の山であるにもかかわらず。

カメラではそこまでの間違いが広まっていることはない。カメラを使う機会よりも双眼鏡を使う機会のほうが多いような気がするが、それでも双眼鏡の正しい知識はなかなか広まらない。

不思議と言えば不思議なのである。




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