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この世のたいがいはまやかし

この世のたいがいの事柄は、まやかしである。

額面通りに受け取れるものは少ない。

善のように見えるもののなかにも悪が潜んでいるし、もっともらしい立派な理念もまた偏ったドグマの変奏に過ぎなかったりする。

まやかしのないものは、野生や自然、一部の芸術であるが、それを生涯にわたって追い求める人は多くはない。

まやかしはどのようなところにあるのか。

政治のほぼ100%、教育や信仰の大半、情愛の一部であろうという気がする。

まやかしは趣味や道楽の領域にも入り込んでいる。

まやかしから逃れるのは難しい。

まやかしから逃れるためには、ある意味世捨て人にならなければならぬ。

まやかしは麻薬のようなものなので、多くの人が一生涯アルコールの奴隷であるように、まやかしを断つことは難しい。

しかし気が付くと、まやかしは不快なものになる。

煙草をやめたあとのニコチンに似ている。

まやかしは毒であるが、それは人を眠らせる毒である。

まやかしは歳をとると増える。

あれもそれもまやかしであったことに気付くのは、人生の後半であることが多い。



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