湧谷敦滋(わきたにあつしげ)

小説家になろうなどの小説投稿サイトに小説を投稿しています。 noteにはショートショー…

湧谷敦滋(わきたにあつしげ)

小説家になろうなどの小説投稿サイトに小説を投稿しています。 noteにはショートショートなどの作品を投稿していきます。

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彼女の親と会いたくないので必死に言い訳を考えています ラブコメ小説

 高校からの帰り道、僕、置田刻智は二学年下で彼女の築山希茶奈さんと一緒に下校している。  雲の天井により太陽からの光の大半は殆ど遮られている。僅かに空いた天井の穴から何筋かの光が降り注いでいた。だが微かな光も太陽が沈むかけたことで失われつつあり、灰色の空間はほんのりと黒に転化しつつあった。 「お腹空いたからファミレスでもいかない?」  僕は腹に手を当て腹が空いた演技をして隣を歩く希茶奈さんに頼み込む。もう十八時回っていることもあり空腹なのは事実だがまだ我慢できる。ただ今

    • 俺の恋はクラスの中にあった 恋愛短編

       六月に入り制服は長袖から半袖に変わっていた。教室には多くの生徒が集っており後数分もすれば朝のホームルームが始まる。生徒たちは友人同士で陽気に喋る者もいれば、机に座ってスマホをいじっている者もいる。  俺、永江迅哲は教室に一限目の教科書とノート、筆箱を用意して黒板をただひたすら眺めていた。  間のなく担任が来てホームルームが始まるから無駄に誰かと話す必要もない。ただ一人で何もしないのも退屈ではあった。話し相手を求めるように教室で数少ない友人を目玉を動かして探す。友人は別の

      • 谷底から羽ばたき始める騎士 ファンタジー短編小説

         かつて当時の王が逝去されたとき、諸外国の介入により国は王家争いで揉めようとしていた。あらかじめ逝去した王から密命を受けていた騎士の家柄であった我がウェスハー家は周囲を欺くため意図的に家を没落させ、当時の主わたし、デニスは国の裏側で国を狙う諸外国の人間たちと争いあった。  それから二十年以上の月日が流れ、新たな王の元、国は繁栄していた。没落したされるウェスハー家は長らく貴族や騎士から蔑まれていた。それでも国のため身を砕いたわたしは必死に堪え続けてきた。王の命とはいえ先祖の栄

        • 朧雲のトラベラー ファンタジー短編小説

           あまり分厚みのない木の扉が軽々しく押される。右腰にダガーをぶらさげる黒髪の男、ローランは傷だらけのブーツで床を踏み、肌が荒れている手で扉を閉めた。上衣には腰より少し長いチェニック、下には裾をブーツに収めたズボン、肩には分厚めで安物のマントを羽織っている。 「いらっしゃい」  十歩程度先にあるカウンターの内に立つ男の店主がローランを迎え入れる。昼食を食べ終えた人間が多い時間帯だが、ガラスの窓から太陽光は差し込まず、茶色の床は若干黒みがかっていた  店主を一瞥したローラン

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        • 恋愛短編
          2本
        • 異世界短編小説
          2本