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No.249【電気のごみは宝の山?】(主催:九州のエネルギーを考える会)

先週7時8日㈯開催予定だった標記意見交換会は、悪天候で当日航空便全便欠航で1週間延期となっていました。


パネリストは☝の通り

《意見交換会概要》
まさに突っ込みどころ満載の意見交換会であったが、私が手を挙げても指名されなかったので、一部であるが、備忘録としてブログに記す。

〈西川京子氏〉
何らエビデンス(データや証拠)を示すことなく、対馬が文献調査に応募すればバラ色の未来がやって来るかのように説明された。なんて無責任な方だと感じた。「きちんとした知識を学べば地層処分は安全だと理解できる」と仰った。西川さんきちんとした知識を学ぶべきは貴女自身ですよ。
⑴ガラス固化体は絶対に安全だ
ところが、日本ではまだ再処理工場は稼働していない。原子力規制委員会に提出された再処理工場の稼働のための申請書は、約6万ページ中3千ページもの落丁や誤植、数値の間違いが見つかっており、稼働の目処は立っていない。
そもそも、地層処分するはずのガラス固化体が日本の技術では未だに出来てない。
さて、日本で作られたガラス固化体の内、設計仕様を満たしている固化体はいったい何本あるのか知りたいものだ(はんげんぱつ新聞末田一秀氏によれば正常に製造されたと言われているガラス固化体は半数以下だそうだ)。
そして、東海再処理施設に残された高レベル廃液は福島事故から12年が経過するのに、いまだに357㎥の廃液をガラス固化できていない。これが日本の技術の現状だ。現場を知ってか知らずか学者が「出来ます」といっても、現実はできていない。地層処分もスタートからつまずいて、すでに23年経っている。これをできるというなら、その証明をしてもらわないといけない。

⑵地層処分は諸外国でも認められた処分方法であり諸外国も皆同じ地層処分するようになっている
確かに地層処分は世界共通の方法である。しかし、日本の核燃料サイクルに沿った再処理後の廃液をガラス固化体にして埋設しようとの手法は特異な手法であることについては一切触れない。再処理により、より一層危険な廃棄物となってしまうことにも、もちろん触れることはなかった。

⑶風評被害はマスコミが作り出す
風評被害とは、風評加害者らとマスコミによって、拡散された科学的根拠に基づかないデマによって、経済的な被害を受けることです。確かに従来はマスコミが、風評被害を増幅させて来た側面もあります。しかし、現在はインターネットによる風評被害はマスコミによる報道被害以上に恐ろしい。被害の規模の予測がつかないし、風評拡散防止も不可能と言ってよいだろう。

⑷日本の科学技術の窓口に
放射性廃棄物の調査研究を行う施設を最終処分場建設地域に設立しなければならない必然性は全くない。西川氏が言うことには何ら根拠はなく、ファンタジー的な主張であり、これまた無責任な発言だと思う。

⑸市町村長と知事の同意がなければ次の段階に進まないと法律に書いてある。
法律には、「首長の意見を尊重する」とは記されているが、「首長の判断に反して次の段階へは(必ず)進まない」とは明記されていない。2000年にこの法律制定時の国会審議でも当時の深谷通産大臣は「最後は国が決める」と答弁している。

《坪谷隆夫氏》
⑴ある地域が核のごみ最終処分場予定地として適している(火山や活断層が近くに無く輸送面でも適している。また、鉱物資源が埋蔵されていない。)かどうか『科学的特性マップ』が示している。

2017年7月28日資源エネルギー庁作成


2017年7月28日資源エネルギー庁作成の「科学的特性マップ」において、対馬は「火山や活断層が近くにない適地」とされている。昨年3月に政府の地震調査研究推進本部は、対馬近海にマグニチュード7以上の地震を引き起こす可能性がある5つもの活断層の存在公表した。同マップの要件・基準に照らせば対馬は好ましくない地域となる。今でもNUMOはこの科学的特性マップを基に対馬は適地だと説明している。もしも、科学的特性マップ作成以前に、これらの活断層の存在を知り得ていたら、対馬は適地の緑色表示をしていたかどうか聞いてみたいものだ。

⑵坪内氏と出光氏は旧動燃社員である。同社が対馬で2箇所既にボーリングを実施していたことを暴かれたいわゆる『昭和52年調査書』の存在についてどのように捉えているかを質問したかったが、指名されること無く意見交換会は終了した。

《出光一哉氏》
⑴ウラン鉱石が閉じ込められたグラスにお茶を注ぎ、それを飲んで見せて放射性物質は怖くないという聴講者を馬鹿にしたパフォーマンスをご披露された。
原発の燃料として使用するウランは濃縮されたものだ(燃えるウランの割合を0.7%から4%程度に濃縮)。また、日本では一度燃料として使用されたウランを更に再処理して再利用した後の高レベル放射性廃棄物を埋め捨てする。自然界に存在するウランとは比較にならない危険な代物で、会場からの質問に答える形で出光氏はグラスに閉じ込められたウランとは放射能が1兆倍も異なることを認めた。また、67歳の出光氏は高齢である。細胞分裂が活発なご自身の子や孫に飲ませることは、科学的には大丈夫だとわかっていたとしても躊躇するのではなかろうか。高レベル放射性廃棄物が自然界にある放射性物質と変わらないレベルまで放射能が減衰するまで約10万年間かかると言う事実を直視すれば、今回の出光氏のパフォーマンスは印象操作そのものであると言えるだろう。

⑵坪谷氏と出光氏は旧動燃出身科学者であるが、NUMOのこれまでの説明と同様に、人工バリアと天然バリアにより、万が一高レベル放射性廃棄物が地上に漏れ出したとしても人体に影響がない程度になる頃までは安全だと主張した。
これについては否定箇所は枚挙に暇がない。とりあえず人工バリア、天然バリアそれぞれ1つずつ例を上げておく。
①人工バリアの欠陥
溶かしたガラス固化体の素をキャニスターへ注入する際根詰まりが生じる。それを金属製の棒で削ぎ落とすが、この作業は容易でない。また、注入の際ドロドロに溶けた物質以外にシャバシャバした液体もキャニスターに落ち込んでいることがテレビモニターで確認されている。つまりキャニスターの内容物は一定のものではない。一体一体異なるキャニスターを埋め捨てするというのに、いかにして安全管理可能と言うのだろうか。
②天然バリアの欠陥
放射性物質は漏れたとしても岩盤が吸着すると主張するが、陰イオンの放射性物質は岩盤に吸着しないことをNUMOの技術部長自身が認めている。

〈井上政典氏〉
⑴ガラス固化体を収納するキャニスターは、トラックを走らせ衝突させても壊れないほど頑丈であると、いかにも安全だと説明した。
その衝突実験は新品のキャニスター(激しい高温に曝され経年劣化なし)かつ高レベル放射性廃棄物以外の物質を詰めた実験であろうことは想像に難くない。トラックが何トン車でどのくらいのスピードで衝突させようとも、マグニチュード7程度の地震が近隣で発生した場合の衝撃とは桁違いとなる可能性が高いことは、容易に想像できよう。

⑵井上氏は保険会社勤務時に調査したところ、米国原子力船乗組員の癌になる確率は一般の市民以下であると証明した。
①保険会社勤務経験があるなら大数の法則くらいはご存知のはず。サンプル数が極端に少ないデータの信憑性は低いことは常識である。
②米国は訴訟大国である。原子力船乗組員の癌になる確率が高いとなれば、国は膨大な損害請求を受ける。従って、原子力船乗船時間等は原発従業員以上に厳しく管理されているであろうことは想像に難くない。従って、原子力船乗組員の癌になる確率が一般市民のそれより低くなるのは当然の帰結と言えるだろう。

一方で、東日本大震災の際米軍が展開した“トモダチ作戦”で被曝した米兵23人が癌となり訴訟が提起されたことは有名である。


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