No.53【令和3年12月定例市議会一般質問原稿(パネル付き)】

会派自公•協働、9番議員の脇本啓喜です。
 さて、令和4年度一般会計予算編成時期真っ只中ですが、一つ目は予算編成過程への市民参加•参画をいかに進めていくか、もう一つは議会で可決された事業の進捗状況や成果達成状況の検証を含むPDCAサイクルの確立について今回も市民協働を円滑に推進するため2項目質問しますが、各々の質問の前には、結論から先に伝える方式で、質問の流れをお示し致します。

パネル①~⑧

パネル①をご覧ください。


パネル②をご覧ください。


《1.予算編成過程への市民参加•参画について》
 通告後お伝えしていたように、公益財団法人政治経済研究所:松田真由美研究員のレポートを参考にこの項目は質問致します。

 日本の地方自治体では予算提案権は首長の専権事項であり、かつ執行権も首長にあるとは言え、その間にある議決権は議会が握っています。しかし、多くの自治体では予算案が議会によって修正されることはほとんどありませんでした。それを受けて近年、各種の自治体計画策定レベルでの市民参加が進んでいる。それに加えて、市民参加の流れは地方自治体の予算編成過程へも及び始めています。対馬市においても、総合計画をはじめ各種計画策定過程に公募委員を入れたり、パブリックコメントを募集するなど、市民の意見を反映させることに努めていることは、一定の評価をしています。
 さて、日本における自治体予算編成過程への市民参加の動きをみると、主要なものとして次の3つのタイプがあるようです。


パネル③をご覧ください。
 結論から申し上げます。予算編成過程への市民参加•参画を図るために、前述タイプCを対馬市に見合った形式で導入してはどうでしょうか?
ところで、現在対馬市には『わが町元気創出支援事業』がありますが、その違いも含めてここで説明します。

タイプAは、既存の制度の説明責任の向上を目指して予算編成過程を公開する、あるいはわかりやすい予算書を作成する(例;鳥取県)
 鳥取県では、予算編成過程をインターネットで公開し、全ての事業の要求書と財政課長、総務部長、知事のそれぞれの査定状況が公開されています。これは市民にとってはどの時点で予算額が削られたか等、予算編成過程がわかり易くなりますが、予算内容に直接変化が生じる可能性は低いでしょう。対馬市も先ずは、定例市議会前の議会運営委員会終了後に議案を市の公式ホームページに公開し、予算ひいては市政へ市民の関心を高めた上で、予算編成過程の透明性にも取り組んではいかがでしょうか。市長の所見を伺います。

タイプBは、市役所とは別に、公募による市民が自治体予算全体の見直しと予算案作成を行う(例;埼玉県志木市)
 志木市では、一般市民で構成される「市民委員会」による予算編成を開始しました。これは、市民の意見が予算編成全般に直接反映できるメリットはありますが、代表性のない市民が予算案の対案を作成し、市長に提出できるという仕組みは問題があったと考えられ、導入した市長が交代してこの予算編成方法は終息されました。従って、タイプBは参考程度で良いかと思います。

タイプCは、市予算のうちの一部を分割した全地区に交付し、市民が地区予算を編成する(例;名張市)
 名張市では、各地区の地域づくり委員会による地域づくり事業に一括交付金を与え、一部の予算編成を市民に任せていました。
『わが町元気創出支援事業』とは異なり、資金の使途は限定されず、補助率もありません。また、『わが町元気創出支援事業』は、特定のグループが対象であり、地域住民全員を対象とはしていません。
 制度導入の背後には、行政によるサービスが拡大する中で、受益は歓迎だが、負担はしたくないという住民の意識が高まる一方、厳しい財政状況にあることを住民に理解してもらう必要があるという行政側の思惑が伺えます。
 しかし、市全体の予算編成における位置づけはあくまでも小額です。また、事業内容の特徴は、その多くが住民交流会イベントや環境美化、防犯などこれまでの町内会活動の延長線上にありました。これらの活動に以前から関わっていた人々以外に大幅な参加者増を期待することは困難なようです。
 一方、一部の地区では、子育て支援と高齢者福祉に関わるサービスも開始しています。今後は、このような生活上のニーズの高い分野でサービスを提供することによって住民の関心が高まる可能性があるでしょう。つまり、真の意味で地域の自己決定権を高めるためには、財源移譲に加えて権限の移譲が必要です。また、この制度は、予算編成への市民参加というよりは、地域のことは地域で決めるという地域内分権の例と言えます。ただ、「住民のニーズの吸い上げ」と「住民に対する説明責任と透明性の確保」という問題は地区レベルになったとしても依然として残ります。
パネル④をご覧ください。

市全体の優先順位つまり全体の視野も非常に重要ですが各地域の優先課題もあるはずです。全体予算の1~2%をその予算にあててみてはどうでしょうか。いわば鳥の目も虫の目も必要だと思います。
 私は自治体の職務は大きく分けると、一つは金を稼ぐこと、もう一つは住民サービスの充実の2つであると思います。前者は、スケールメリットを享受するために大きな単位が優位である一方で、後者は対象単位(人口や面積)が少ないほど目が行き届くメリットがあります。
 対馬市内を3地区に分割し、予算の一部を交付することにより、市民ニーズを吸い上げやすくして、市民が自分たちの住む身近な地区の予算について考える機会を設け、その参加するハードルを低くするメリットが期待できると思われます。あえて、誤解を恐れずに言わせていただくと、市民にとって、事業の成功よりも『事業の過程に参加をした』ということに納得していただくことことが重要であるケースもあると思います。市長の所見を求めます。




(2)枠配分予算の導入について
ここからは、福岡市役所財政課長等を歴任されたnoteブログライター「ヒロシです」さんの投稿に倣って質問します。
 予算編成の手法は大きく分けて二つあります。従来型の一事業ずつ財政課が精査する「一件査定」と、あらかじめ推計した翌年度の財源を一定のルールで各部局に予算編成前に配分し各部局がその範囲内で自主的自律的に部局単位の予算原案を作成する「枠配分予算」です。
 私は対馬市においては、福岡市等で採用されている枠配分予算を段階的に採用していくことを提案します。いきなり全てを枠配分予算へ移行することは、各部署で予算の査定ができる人材確保の観点等から困難であろうと思われます。とりあえず対馬市内の3分割地区を本庁の各部局に見立てて一定の交付金を与えて経験を積んで将来的に部局別枠配分予算制度の導入を始めてはどうでしょうか?市長の所見を求めます。

《2.予算の執行状況及び成果達成状況の中間検証等、PDCAサイクルの確立について》
つづいて、パネル⑤をご覧ください。

PDCAサイクルとは、こちらのパネル⑥をご覧ください。

(1)自己(庁舎内)検証のあり方の再検討について
(2)第三者機関による検証の導入について
市長の所見を求めます。

【再質問】
議会は何のために置かれているのか。
パネル⑦をご覧ください。
それは、市民の人数が増え、直接話し合って物事を決めていくことが難しいので,自分の代わりとなる者をあらかじめ選び、その者に意思決定のプロセスを代理させることで意思決定の場に自分の意見を反映することができる。というのがよく言われている議会の機能ですが、実際には数年に一度の選挙で選ぶ議員が、それぞれの政策決定において常に自分の意見と等しい行動をとるかというと必ずしもそうではありません。最近,私は少し別の見方をしています。それは,議員は有権者の「アバター」であるという考えです。RPGの世界ではなじみの深い「アバター」。仮想世界で生活するキャラクターを自分で選び(あるいは創作し)、そのアイコンに自分の思いを投影して、その仮想世界での生活をさせ、冒険や交流などの活躍をさせる。この自分の分身となるキャラクターを「アバター」と言います。アバターの活動は自分でコントロールすることもできますが、放置しておくとそのアバターのもともとの設定に基づいて勝手にその仮想世界での営みを進めてくれるというものも増えています。私は、間接民主主義における有権者と議員との関係ってまさにこの関係なのではないかなあと思うのです。
アバターである議員が自分の分身として、どれだけ議論やその前段の「対話」をしているか、それを有権者がどれだけ知りうるか、その密度、解像度が濃けアバターである議員が自分の分身としてどれだけ議論や前段階の対話をしているか、それを有権者がどれだけ知りうるか、その密度、解像度が濃ければ濃いほど、自ら「対話」の場に足を運ぶことができない(あるいは運ばない)市民にとっての「対話」の疑似体験になるのではないか。
議会は議論の場、物事を最終的に決定する場ですが、その場に居合わせることができない多くの有権者にとっては、議員が議論していることがあたかも自分が議論しているかのように感じられる、自分の分身の役割を果たしてくれれば、あるいは、議論の前の対話の段階から,あるいはその前の雑談や愚痴の段階から、議員の活動を自分の分身として見守ることができ、そのアバターを通じて他の立場、意見を持つ方々と意思疎通することができる存在であってくれれば、私たち有権者が自ら対話や議論の場に臨めなかったとしても、そこにいたかのように、自分が「対話」し、互いに情報を共有し、立場を超えて理解しあえたかのように感じることができ、その結果、議員同士での議論で導かれた結論にも当事者意識や納得感を持つことにつながるのではないでしょうか。市民と行政,あるいは市民同士の対話を進めるのは,直接対話する場を創る方法も当然ありますが,議員を有権者の代わりに対話や議論を深める「アバター」として認識し、その機能を最大化し活用していく、そんな方法もあると思います。行政職員についても議員と同様のことが言えるのではないでしょうか。市長は、いかがお考えでしょうか、市長の所見を求めます。 

【2021,12 再質問】

《1.予算編成過程への市民参加•参画について》

(1)市民の要望を予算案に反映する仕組みづくりについて

①予算編成過程の透明性について

市民が予算編成過程に参加するこのような動きの背景には第一に、住民の自治意識の高まりと、もう一つには、地方自治体の財政逼迫により、限られた財源で効率的・効果的な支出が求められていることが挙げられています。

さらに、近年各地で明るみに出ている地方自治体の不正支出により、税金の使途に対する説明責任を求める市民の声の高まりもあるでしょう。

市民が要望を予算編成に反映させるには、予算に計上されている事業の効率性及び効果、そして歳出のみならず歳入を含めた財政運営全体の健全性を判断するための情報があってはじめて予算全体の是非を総合的に判断することができます。


②市民の要望を予算編成過程に反映させる手法について


(2)枠配分予算の導入について

 行政職員に求められているスキルとして、論理的に物事を考えEBPMで政策を立案し、実践し、検証し、改善していくというPDCAサイクルの実行も大事です。

しかしそれよりも、多様な意見を持つ市民がいかに納得性をもって合意を形成するための場を創り、市民をそこに招き入れ、多様な意見を受け入れながら合意に導く調整力ともいうべき「対話力」が求められています。「対話力」のある職員を育成することで、限られた財源や人的資源という制約の中でも住民福祉の最大化を図っていくことは可能ではないでしょうか。

むしろ、お金で住民の満足を買うことができる時代でない以上、対話というプロセスにより住民の納得感を満たしていくことしかないのでないかと思われます。


パネル⑦をご覧ください。

ところで、私は昨年の豊崎神社秋季大祭の後片付けに参加しました。

法被や地下足袋、奉納相撲の土俵の柱に巻かれた紅白布等を大勢の女性が毎年当番制で順繰りで洗濯しますが高齢化も進行し大変な負担です。


「最近、近くにコインランドリーが出来たので、そこで洗濯するようにしてはどうか?」との提案がありました。
皆さんの負担を軽減してあげたいとの優しさ溢れる素晴らしい提案だと思います。

しかし、毎年順繰りに洗濯当番で集まった際に、顔を見合わせ、協力して作業することで、地域の絆を育み継承する一助になって来た一面もあるのではないだろうかと、私は感じました。

豊崎神社の秋の大祭の準備に参加した際には、注連縄づくりを担当しました。少子・高齢化が進む中このような機会は大変貴重で、作業中に昔この地区で起こった水害のことや、古くからの言い伝え等興味深いお話を、お年寄りからたくさんお聞かせ頂けました。

 ご存知のように、『対馬の盆踊り』が国の重要無形文化財に指定されました。古くからの踊りが今も残っているという現時点での価値もさることながら、毎年毎年稽古を何日も重ねることで、対馬各地の盆踊りがそれぞれの地域で今もなお地域の絆や郷土愛を育み続けている象徴として、高い評価を受けたのではないかと私は感じています。少し話が横道に逸れましたが、必ずしも会議を開催したりアンケートをとらずとも、ある程度関係者のニーズを把握はできます。例えばこのような地域行事通じてなど、多くの方々からご意見ご要望を寄せていただけるような議員、《裃脱いで、市民に寄り添う政治》の実践を目指していきたいと思いますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?