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No.98【市職員公金横領不祥事をめぐる臨時議会(3/28)以降の動きについて】

《Ⅰ.事件の概要》
▷対馬市職員が担当していた“対馬市観光活性化協議会(以下、協議会)”の口座から自己が管理するキャッシュカードで、昨年9月より延べ131回に亘り総額約6,000万円を不正出金し、横領着服した。
▷令和4年3月2日夜、本人の申し出(上司にLINE)で発覚。

《発覚から3月15日議会運営委員会までの動き》 
▷同年3月8日、対馬南警察署へ告発の相談。
▷同日、定例市議会本会議終了後に議員全員協議会開催
この事件について初めて市議会に報告された。
小職からは、再発防止策策定もちろん、他の全ての公金取り扱いの現状把握の進捗状況が確り報告できないのであれば、議会最終日(3/17)に提出されるであろう横領額補填の補正予算の否決も辞さない覚悟で臨むと通告した。
▷同年3月14日、協議会より対馬市に損害賠償請求が書面にてなされた(3枚目写真参照)。
▷同年3月15日午前中に議員全員協議会開催(市長は、副知事と共に内閣府及び国土交通省の求めに応じ上京のため欠席)
市職員公金横領不祥事をめぐる今議会最終日に追加上程予定議案に係る事前説明及び質疑応答。
小職からは、3月7日に通告したことについて不十分であり、無理に定例市議会最終日(3月17日)に議案を上程せずに、別途臨時議会を開催してはどうかとの提案をした。
詳細は、以下の3月15日議員全員協議会資料参照。

赤字は議員からの質問。青字は理事者答弁。

▷同日午後から議会運営委員会開催
◎市長及び副市長減給議案と財政調整基金から支出する金額の補填予算議案の取り扱いについて
午前中の議員全員協議会で、月末までに臨時議会を招集する方向性である程度コンセンサスが図られたことを受けて、以下のa、b2案の選択について協議が集中した。
a.両案共に臨時議会で上程すべきかb.減給議案のみ最終日とすべきか協議
⇒委員の多くはa案支持者が多いようであったが、「議案の提案権は市長の専権事項で議運の職権外」と小職が主張
⇒結論は出さず、理事者判断でbに決着

《Ⅲ.3月15日議会運営委員会から3月28日臨時議会までの動き》
下のNo.86拙稿をご参照ください。


《Ⅳ.臨時議会から5月2日議員全員協議会前までの動き》
▷臨時議会では、議員も身を斬り6,000万円の穴埋めに貢献すべきとの提案が、議員のコンセンサスが得られていない中、船越議員からなされた。上掲No.86でも述べた通り、事件による対馬市経済への悪影響は横領金額に留まらず小職も身を斬ることはやぶさかでは無い。しかし、身を斬る大義名分が必要だと思う。
▷臨時議会終了後半月が過ぎても、それ以降の理事者からの進捗状況説明あるいは議長からの議員全員協議会招集もなされなかったため、早期(GW前)に議員全員協議会招集を議長や各会派の代表者等に呼びかけた。
▷また、市民にも直接面会あるいはSNSを使って、①この事件に関連して議員も身を斬るべきか②身を斬るとすればどうすることが適当か③協議会の役員の責任はどこまで追求すべきか、をお聞きした。多くの市民からご意見をお聞かせいただいたが、小職の周囲では『議員も身を斬るべき』とのご意見はわずか1名だけだった。③については、『役員も責任はあるが追求には及ばない』とのご意見がほとんどだった。

《Ⅳ.5月2日議員全員協議会での理事者説明の概要》
〈臨時議会以降の動きについて〉
▷4月14日に協議会の総会開催。

◉全員協議会での理事者からの説明
👇資料参照

②第三者の視点による検証と再発防止策の進捗状況
▷3月15日内閣府及び国交省に市長が長崎県副知事に同行のもと、謝罪及び状況説明。
▷内閣府から、行政内部のみの改善計画では不十分との指摘。
▷県と協議し、有限責任監査法人に「原因究明及び再発防止策に関する報告書」の作成を依頼中。事務局は、対馬市の手を離れ、有限責任監査法人とし、学識経験者(大学教授)、弁護士、公認会計士の3名で構成する第三者委員会に委ねる。5月中旬に報告書がまとめられる予定。

③国からの予算内示執行保留状況(ペナルティー)について

2.今後の手続きについて
⑴本件の捜査状況
▷3月8日に、市が告発状を警察に届け出。
▷警察が、動機、横領金の裏づけ等を確認中で、5月2日現在も正式に受理した旨の連絡はない。
⑵(民事)訴訟の提起
▷4月18日付けで、本人に対して求償請求を通知。
▷4月20日に書面が本人に到達。
▷書面到達後15日以内に支払いがない場合、市が原告となり民事訴訟の手続きを開始予定。

◉質疑応答
▷本人とは常に連絡が取れるのか?
→LINEで連絡を取っている。
▷国家賠償法での求償は適当なのか再検討すべきだ。
→第三者委員会に委ねる。
私からは、以下の3点について質問した。
▷この期に及んでも、コロナ禍に更に拍車をかけるこの事件によって波及している経済的悪影響を考慮した市独自の緊急経済対策を何故打たないのか?損失額の把握は困難であるが、把握する努力はしているか?
▷各種実行委員会組織との『権限、財源、責任』の明確化を避けてきた代償だと思えないか?
▷また、協議会の役員となっている(一社)対馬観光物産協会と対馬市との関係性が、外郭団体当時と変わっていないように見えるが、一民間企業としての関係性として妥当か?

《Ⅴ.5月2日議員全員協議会での議員間協議の概要》
▷ある議員から、「協議会の役員は、無報酬で非常勤(常時職員の管理は不可能)とは言え、賠償責任を問えないとする理由とはならない。」との意見が出た。
→同調する議員もいたが、大半の議員は役員の責任は不問とするのが妥当との立場に見えた。
▷市長は不祥事に対する責任との趣旨で減俸したが、横領金額の穴埋めには身を斬っていない。市長がそれをやっていない中議員が率先して身を斬る必要はないとの意見もあった。
▷小職から、今回の不祥事による損害は単に横領金額6,000万円に留まらない。むしろ、この事件による国からのペナルティーによる損害は莫大であり、且つ対馬市独自の財源(真水の財源)で賄わなくてはならない。6,000万円を穴埋めすると言う発想は理解できないと主張した。
▷ほぼ全議員が、身を斬ると決定すれば従うように見えた。
▷議員も身を斬るべきと強く主張する議員に対して、小職から身を斬る根拠を質すと「市民感情が許さないから」と応えたのには驚かされた。上述の通り小職市民ヒアリングからは、身を斬ることには否定的な意見ばかりで、まして「市民感情」と言う曖昧な根拠では、小職は納得できないと主張した。
▷「事件により派生している経済的損失に苦しんでいる市民のための施策を打つための財源の一部として議員も身を斬る」なら身を斬る根拠としてまだ納得出来ると小職は主張した。

▷結局は結論は出ず、議員全員協議会の協議の内容を議長が市長に伝えると共に、第三者委員会の報告書の開示を待って再度議員全員協議会を開催することとなった。

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