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No.304【令和6年6月定例市議会一般質問原稿】

(8分間)
9番議員会派市民協働の脇本啓喜です。
早速ですが、通告順序を変更して《3.所信表明について》から始めます。但し、「一般質問通告〆切日までに公表されていない所信表明の内容について質問することは、通告外に当たるため、質問を取り消すように」と、議会運営委員会で決定されましたので、心外ですがこの3番全体を、質問としては取り消します。意見として述べますので、答弁は全面割愛して結構です。

⑴首長選挙後の最初の議会で所信表明が実施されるのが一般的には慣例です。国会では所信表明翌日から各政党の代表質問が実施されます。所信表明とは任期中に取り組もうと考えている政策及び施策を述べる重要なものです。いち早く市民や議会に公表して浸透を図るべきだと私は思います。                          

⑵初日の所信表明について、内容によっては質疑応答を求める場合もあります。
市長は、対馬市の最重要課題は『人口減少対策』であると所信表明で述べています。しかし、人口減少は成長社会から成熟社会へ移行すれば当たり前であり、一自治体のみで解決できる問題ではないと私は認識しています。確かに人口減少抑制への取組みは必要だと思いますが、『人口が減少しても持続可能な島を目指す政策への転換』こそが、対馬市の最重要課題だと私は思います。

さてここからは、(仮称)北部対馬アクションプランを中心に、龍谷大学阿部大輔教授寄稿の日経新聞連載記事『オーバーツーリズムを超えて』を参考にしつつ質問致します。

1.(仮称)北部対馬アクションプラン策定事業の基本理念について
⑴令和6年度一般会計補正予算(第2号)7款1項3目観光費として当該事業策定委託料が計上されています。観光を観光消費による雇用創出や外貨獲得、税収増加等の「単なる経済的発展手段」として捉えるのではなく、「観光と地域住民の生活との共存」をコンセプトに掲げることが世界的潮流になっています。当該事業の基本理念について答弁を求めます。

⑵「観光と地域住民の生活との共存」を図るには、当該事業の協議を進める上で、協議会の範疇は観光に限定するのではなく、他の商工業及び福祉や教育分野も含め、上対馬振興部管内の住民生活に関してまで幅広に取り扱うべきと考えます。当該事業の取り扱う範疇、及び協議会のメンバー選出方針について市長の答弁を求めます。

2.(仮称)北部対馬アクションプラン策定事業に係る具体的提案について 
⑴オーバーツーリズム問題に直面して、「市民生活の質を維持するためには成長を促すのではなくむしろ制限を設けることが必要」(アムステルダム市)等の指針が普及しつつあります。前述の「観光と地域住民の生活との共存」という理念の具体策として、以下の3点が構想されています。①観光客の分散、②宿泊施設の戦略的なコントロール、③宿泊税の導入です。この3つの構想について市長の答弁を求めます。

⑵当該事業を展開する上で「地域経営」の視点に立つ『観光DMO』設立を推進すべきだと考えます。日本版DMOの特徴は、意思決定がボトムアップ型でおこなわれ、観光関連事業者のみでなく一般の地域住民を巻き込みつつ舵取りを担い、マーケティング等のデータを活用して観光地域づくりを行います。観光物産協会等が、事業者視点で行動する一方で、観光DMOは顧客視点あるいは住民視点で行動する違いがあると言われています。『(仮称)対馬観光DMO』を設立する意義について、現時点での賛否を明らかにして、市長の答弁を求めます。

⑶(仮称)北部対馬アクションプランと、直接的には市の事業ではなく水産庁を中心とする国の事業であるが海業パッケージ事業等の現在進行中の他の各種まちづくり計画及び関連事業との相関性について市長の答弁を求めます。   

【再質問】     
(5分間)

《協議会の形式》について
今の市長答弁から、予算費目は観光費ですが、平成30年に公表された『中対馬未来づくりアクションプラン』同様に、観光のみではなく住民生活に関してまで広い範疇とすると捉えさせて頂いて良いだろうと思われます。
住民サービスの充実を図るには、住民自治を機能させることが必要であり、それに関わる人材をいかに集め、いかにして能動的に活躍していただけるかが重要です。参加・参画の敷居を低くする上でも、協議会本体とは別に、子育てや介護等の分野に絞った分科会の設置が望ましいと思います。協議会の形式はどのように想定しているのか、市長の答弁を求めます。

また、協議会の運営は、プロポーザル方式で選定したコンサルタントに委託することになるようですが、地域循環経済の観点から、また地元意見をより反映しやすくするために、島内事業者あるいは島内事業者とのジョイント企業が好ましいと考えますが、市長の答弁を求めます。

《協議会メンバーの選定》について
まちづくりへの参加・参画・協働頂く人材の発掘・育成を図るためには、①多様な主体が関わりやすく、②次世代を巻き込み継承と変革を支援し、③つながりを維持・強化できる環境づくりが求められていると思います。構成員の数、構成員の男女比や年齢構成、職業等、現在の構想をお聞かせください。

(2分間)
⒉-⑴
《オーバーツーリズム対策》について
①観光客の分散
対馬市では、週末や学校の長期休暇中は、お陰様で多くの観光客や帰省客にお越し頂いています。比田勝地区では、ランチ難民で溢れたり、宿泊が必要となるイベントを開催しようにも宿泊施設の確保がままならない時期もあります。学校の長期休暇期間やゴールデンウィークや盆正月は来島客を充分におもてなしすることが困難になってきているように思われます。観光客来島ピークの平準化、平日来島客増加や盆正月の帰省時期をずらして頂くための何らかの工夫が必要と思われますが、市長の所見を求めます。

(1分間)
②宿泊施設の戦略的なコントロール
宿泊施設とは少し違うかもしれませんが、対馬市は雇用拡充事業で、レンタルキャンピングカー事業を採択しています。市街地から離れた集落にキャンピングカーで何日も言葉も通じない外国人が連泊し、夜な夜などんちゃん騒ぎするようなことがあれば、高齢者ばかりの集落では注意することも憚られ、不安な夜を過ごすことになるのではないでしょうか。「観光と地域住民の生活との共存」という理念から、特に制限を設けることなくこの事業を採択したことについて適切であったかどうか、市長の答弁を求めます。

(5分間)
③宿泊税の導入
ここでは、(株)JTB総合研究所山下真輝主席研究員の『地域が宿泊税導入を目指すべき理由とは?』を多分に引用します。

観光客の増加により旅行者消費額が拡大することで地域の雇用創出につながり、結果的には定住人口の増加にもつながります。また、観光振興によってホテルや観光施設の誘致などが行われ、さらに企業誘致にもつながれば、住民税や固定資産税などの自主財源が増加します。しかしながらその分の地方交付税が減額されることになり、結果的には自治体の財政は豊かにはなりません。
そこで地方自治体の財政力を向上させるための施策として注目されるのが、2000年4月の地方税法改正により新設された「法定外新税」です。これは、「基準財政需要額」に積算されませんので、純粋に自治体の財源増加に寄与します。宿泊税は、観光振興目的にそのまま活用される法定外目的税であり、観光振興予算を直接増加させるものとなります。
2023年3月導入を開始した長崎市では、約3.7億円の税収が見込まれ、税収の6割を観光地域づくり法人(DMO)の財源とし、データ分析などの強化や来訪者のサービス向上につなげる施策を実施するとしています。従来の観光財源に宿泊税が加わることにより、数億円単位で財源が増加し、受入体制整備、情報発信の強化、観光協会等の観光推進組織の体制強化などが図られ、観光地の競争力強化につながっています。

宿泊税の導入には、まずは宿泊税の特別徴収義務者となる宿泊事業者に対して導入の意義や制度への理解が図られた上で、住民への説明を丁寧に行い、その地域の実情を踏まえた宿泊税制度を検討した上で、議会で宿泊税条例を可決・成立させる必要があります。宿泊税導入により財源を確保した観光地と、そうではない観光地とでは、今後大きな差が生まれる可能性があります。前定例市議会一般質問において、「自治体の主たる仕事の一つは金を稼ぐことだ」との小職の発言を市長は否定ないさいましたが、宿泊税導入は検討していると数度発言しています。対馬市における宿泊税導入の意義と導入に向けた進捗状況について市長の答弁を求めます。

また、広島県廿日市市の宮島では、『宿泊税』ではなく『宮島訪問税』いわゆる『入島税』の名目で、法定外普通税を徴収しています。調査研究中ですが、対馬市においては『宿泊税』よりも『入島税』の方が適している面があるようです。ここでは詳細まで触れませんが、この2つの税について比較衡量し導入すべきと考えます。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000758653.pdf

(1分間)
その他前述の「市民生活の質を維持するためには成長を促すのではなくむしろ制限を設けることが必要」と思われる事項として、景観保全特に屋外広告物規制やマリンレジャー業に関するガイドライン制定が挙げられます。特に、屋外広告物規制についてはゾーニングが重要だと思いますが、市長の所見を求めます。


(2分間)
⒉-⑵
《PDCAサイクルを担保できる体制の確立》について
前述の『中対馬未来づくりアクションプラン』の計画書は161ページにも及び内容も実に素晴らしい冊子となっています。ところが、担当部所にお尋ねしたところその検証が不十分なようです(令和2年3月25日10時から11時30分の1回のみ)。多くの計画には計画期間があり、その期間までに達成すべき目標が掲げてあるはずです。つまり、一定期間に一定の成果を上げることが求められています。「計画策定のための計画」に終わらないように、協議会委員の委嘱を行うに当たって、任期はプラン策定終了時点ではなく、次回検証時までと謳っておいてはどうでしょうか。プラン策定時に、検証者、方法及び時期について予め盛り込んでおくことで、PDCAサイクルの確実な実施につなげてはいかがでしょうか。市長の答弁を求めます。

(1分間)
⒉-⑶    
観光客の分散について先ほど触れましたが、平日の団体観光客としては、修学旅行の誘致が最もポピュラーだと思われます。一般の観光同様、修学旅行においても体験型がトレンドになっています。しかし、特に北部対馬には体験型観光を提供するツールが少なく、受け入れ規模も小さいといった状況です。今後、海業パッケージ等の取組みとも連携して受け入れ体制の構築を図っていく上で、市としてどのように関わっていくおつもりか、市長の答弁を求めます。     

現在、西泊海岸での魚のつかみ取り体験や海上アスレチックの設置を検討している企業もあります。海岸管理者である長崎県対馬振興局に、国定公園内での規制をクリアできるよう調査を依頼する等の動きもあっています。北部対馬の観光振興に資するよう、市としても何らかの支援を検討頂けないでしょうか。市長の答弁を求めます。

     

     

     

     

          

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     













     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     




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