あいちトリエンナーレ2019写真日記①

10/4(金)
 先週の予報では天候が危ぶまれたが、幸い新幹線は止まることなく、無事東京を出発、途中では富士山も見ることができた。

 栄駅にはお昼に到着、お昼ご飯を食べるために入ったお店で接客をしていた年配のスタッフの方が、外国人のカップルに流暢に英語でコミュニケーションを取っていたのが印象的だった。

 栄駅からの連絡通路から愛知芸術文化センターへ。出迎えてくれたのは沢山のTシャツが縫い合わされて作られた作品だった。

 ピア・カミルさんの「ステージの幕《Telón de Boca》 2018」という作品だ。
バンドのTシャツを縫い合わせて作られたこの幕は布の中には24個のスピーカーが設置され、イベントなどで利用するステージとしても機能するらしい。
 Tシャツは大量生産や市場経済などを象徴する一方、音楽ファンのアイデンティティを示したり、ファン同士の交流アイテムとして用いられる、と作家は考える。
 展示に用いられたTシャツは、物と物との「交換」で手に入れたそうだ。
作家が初個展を行った美術館近くで行われている、物々交換が盛んな「チョポの露天市(大量のTシャツが、他の音楽やファッションのアイテムと共にやり取りされている)」の伝統に倣い、作家がデザイナーと制作したオリジナル限定Tシャツを、友人や通りがかりのアートファンたちの音楽バンドTシャツと、交換し手に入れた。それらが縫い合わされ一つの作品になっている。

 芸術が人と人とのコミュニケーションという側面を持っていることを考えると興味深いし、Tシャツが様々な側面(この作品で言うと、大量生産されたものという側面と、そのTシャツに印刷されたバンドのロゴにより人によってはその人のアイデンティティを示すものになるというもの。矛盾とは違うものの、社会が簡単に割り切れるものではないことを示しているように思う。日本以外の国で考えられているタトゥーの有用性、なんてことが頭を過ぎった)。
 この、あいちトリエンナーレ2019は様々な場所で開催されているし、この愛知芸術センターにしても、入館の仕方は人それぞれだろう。
 僕個人としては、このトリエンナーレのスタートがこの作品であって良かったように思う。
 ただ、この作品は、展示一時中止(展示内容の変更)と記されていた。本来の展示の仕方だったら、また印象も変わっただろうか。

 あいちトリエンナーレ2019は、例の「表現の不自由展」に纏わる件がどうしてもクローズアップされ、ある意味象徴的な出来事となり、それは今も続いている。
 しかし、その実、他にどんな作品が展示されているのか、というのは報道を通じてはあまり伝わってこない、というのが僕の印象だった。
 美術館には年間割と足を運ぶが、このトリエンナーレは元々ノーマークだった。だが、自分でもこのトリエンナーレに関係することをツイートしていくうちに、見られるタイミングのあるときに見ておきたいという気持ちが芽生えたのだった。(続く)
〔引用・参考資料〕
あいちトリエンナーレ2019 公式アプリ

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