幸せな、なんちゃって

先輩が韓国の人と電話でやりとりをしていて、ある話の中で「なんちゃって」という言葉を使った。すると向こうの人が「なんちゃって」ってどういう意味ですか?」って聞いてきたらしい。

えっ??”なんちゃって”の意味なんて考えたことないよ。

調べると、「ほんの冗談、本当ではない、模造。なんて言っちゃっての変化した言葉。」と出てきた。なるほど…!

それを調べた中でとても気になる言葉を発見した。

「なんちゃっておじさん」

いくつかパターンがあるらしいが、
電車で、おじさんがヤクザ風の連中に絡まれて泣き出して乗客たちの注目を集め、その連中が去った後で「なーんちゃって」と両手を頭の上につけ、両腕で輪を作ったポーズを見せ、乗客たちの笑いを誘うという説が載っていた。当時の深夜のラジオ番組の投書を始めとしてテレビや雑誌などでも取り上げられ、流行したのだとか。

おもしろすぎる。説なので、本当かどうかはっきりと分からないが、なんちゃっての意味にこんなストーリーがあったとは。まさかこれだけのことで、こんなに笑うとは思わなかった。私はツボにはまり、久しぶりにおなかを抱えて、涙がでて、息が苦しくなるくらいに笑った。先輩もつられて爆笑。

続いて両手を頭の上につけ、両腕で輪を作ったポーズの写真を見つけて、ついその仕草を真似してしまう。また笑う。

韓国の人が意味を聞いてくれなかったら、”なんちゃって”の意味なんて一生調べなかったかもしれない。普通に使う言葉にこんなおもしろい物語があったとは、知らなかった。言葉の意味っておもしろい。

そして、こうしてここに書いているが、読んでくれた人にとっては特におもしろくないことかもしれない。あれは、その時その空間だからこそ笑えたし、それを人に話そうとしたところで、笑わせられるようなテクニックは持ち合わせていない。

でもこういう笑いって私はとても好き。その人との間だけで成立する謎の笑い。その空間にいなかった人には分かりえない、この微妙なおもしろさ。

この小さくてどうでもいい笑いを一緒に笑ってくれる人がいることは、

どうでもよくない大きな幸せの瞬間だ。

#日常

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?