終わる夏休み

 もうすぐ私のプチ夏休みが終わる。
 公務員にはお盆休みなどないから、高知のよさこい祭りを回避して帰ってきた福岡でのこの三日間が私の夏休みだった。
 実は来週も福岡に来ることは来るが、歯の治療というやむなき用事での帰省になるので、休暇とは程遠い。

 蕎麦屋、寿司屋、ラーメン屋と一軒ずつ回って、家で二度も晩御飯を拵えてもらえたのだから、これ以上の幸せはない。

 友人の多くいる東京も捨てがたいが、こうして一年半前に病気療養の9ヶ月を過ごした福岡こそ、やはり最も思い入れの深い場所だ。
 というより、いまだに健在でいてくれる実家にこそ救われる。

 実家には常に両親の車で帰ってくるので、最寄りの公共交通機関までの道さえよく知らない私は、この家を密かに幻想の家と名づけている。
 そう考えると、実に不思議な感じがするのと同時に、視覚障害者の自力移動がいかに大切かを思い知らされる。

 明日、夏休みを終えて職場のある我が家へ帰る。

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