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麦茶の葛藤  380

久しぶりに麦茶を煮出した。

そう、夏の定番!…って、今じゃ一年中お店で見かけるようになったけれど。
夏には冷やした麦茶で冷蔵庫がいっぱいになるとか
とにかく一日中麦茶を煮ては冷やしてを繰り返してるとか
家族が残り1センチくらい残して冷蔵庫に入れてるのを見てイラっとするとか…
エピソード満載の麦茶。


我が家もよく飲んでいたと思うのだけど、いつからだろう?夏に麦茶を飲まなくなった。きっかけは、わたしが「常温の麦茶を飲みたい」と言い出した時からか…?と思い出す。

10年以上前に「温かい麦茶、いいですよ」という話を知って、夏に温かい麦茶を飲んでいたことがあった。
アーユルヴェーダの先生のお話だったように記憶していて、その先生のお父さまが年中温かい麦茶を飲んで長生きされたとか、そんなお話だったように記憶している。

確かに温かい麦茶はおいしい。
喫茶店で出しておくれとは言わないけれど(和食屋さんとかで熱々のほうじ茶を出してもらうとうれしいけど)、温かい麦茶のおいしさに開眼したのはその時だった。

ただ…保温ポットに入れておいても、なかなか減らない。
えぇ…真夏ですからね。

わたしもそんなにガブガブは飲めないし、家族も「カラダにいいのはわかるけど…今は冷たいのが飲みたい」としごく当然の意見。
氷を入れて薄まるというのもちょっとせつない…。
ということは…そう、飲みきれずに残ってしまうという、夏の暮らしにあるまじき現象が起こり始めた。


世の中「麦茶足りない!」ってわちゃわちゃしてるのに、我が家では
「なんか、味おかしい…」なんて残念なことになってちょっとショックだった。

温度が違うだけでこんなに減りが違うなんて…って、暑い季節に熱々の飲み物が敬遠されるのも当たり前なのだけど、なんだか敬遠されたことよりも熱いのに痛みが早いということにもショックは大きかった。

譲歩したつもりで常温麦茶を試みたものの、なんなら痛み具合は熱々より早いくらいだった…。

打つ手なしで冷やしてみたら…その時の自分が欲しかったものではなかったということに恐ろしくモチベーションが下がりw
あえなく、数年前から麦茶はストップしていた。


その間にキンキンのアイスコーヒーブームが到来してすんごい抜け毛になったり、庭のペパーミントを使うとか、友達のハーブティーを飲んでみるとか色々紆余曲折しながら、なぜか一周して今また麦茶を煮ている。

友人が送ってくれたのがきっかけではあるのだけど、久々の麦茶にちょっと緊張している自分に笑えてくる。


「いいこと」のくくりで選んで自分にとって「いいこと」のはずなのに、なぜだか不自由になってしまうこの不思議なあるある。

一周まわった今年のわたしは、煮出してあったかいうちにもいただくし、冷めたら冷蔵庫に入れる。日中「あっつい!」と思ったら冷蔵庫から出してそのまま飲んじゃうし、その時は「くーーーっ!」なんていいながら味わう。


「いいこと・よくないこと」のジャッジがなくなったの?と考えてみるに…多分違う。
自分の感覚にブレーキをかけることが減ったのかもしれない。
もしくは、欲に正直になったとか…。
いずれにしても「自然でいいじゃないか」と梅雨の晴れ間にちょっとした夏らしさを感じている。



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