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指のケガと鈍い決断  360

今日、久しぶりに指を切った。

左手人差し指と親指の小さな切り傷だったけれど、拭いても拭いても出てくる血を見ながら「おぉー…なんか久しぶりの感じー」と眺めていたら、たまたまうちにいた旦那さんに「ほら!手は心臓より上!振って振って!」とたしなめられた。
さすが、我が家の外傷担当(?)処置の判断が早い。

わたしは結構傷口を眺めるタイプなのだけど、見たい気持ちを抑えながら傷口を押さえつつ手を上に上げてゆらゆらさせていた。

この方法は、数年前に旦那さんが大きく割れたガラスでざっくり怪我をした時に知った手当の方法で、切り傷、特に出血が多い場合は患部を心臓より上にして振っていると、治癒のとっかかりになる透明のゼリー状のものが血の代わりに出始めるタイミングがきて、それが患部を保護しながら傷の早い回復を助けてくれるスタートになるというものだった。

その時の彼の傷の回復は本当に早くて、以来我が家では(主に彼が)血の出る傷の時には定番の処置になっている。


で、そもそもどうして指を切ったかというと…こちらでも書いたのだけど

この瓶を今一度洗おうと試みていた時だった。

クレンジング作戦は確かに少しの動きはあったものの、汚れもやっぱり残ってしまい「作業完了!」とはいかなかった。
だから、今までやっていないことの最終手段としてお湯を使おうとしていた。
ソーダ瓶は割れやすい…なんてどっかで聞いたような気もしていたのだけれど、仕方ないよね…このままだと汚れも落ちない、何にも使えない、どっちつかずで「やりっぱなし」の状態が続くんだから…と、明らかに気乗りしない、でもやらなきゃ…のココロでやり始めた。


カンカンの沸かしたてはよくない、ということでいい加減冷ましたつもりだったのだけど、二つのうちの一つの瓶にお湯を入れた途端「パシンっ」と音がして大きくヒビが入ってしまったのだった。

「あぁ…」

「やってしまった」も「こうなるよね…」も、なんとも言えない色々混ざった声だったのだけど、ここには「上手に手入れできない自分」とか「ステキなものを壊す自分」とか「ものを大事にできない自分」とか「それで怒られていた時と何も変わらない自分」とか…そんなものもしっかり混じっていたし、もっと言えば「これでこの場所が片付くってことか…」なんてぼんやりと浮かんできたりして、マーブルを超える模様を呈していた。


そんなごちゃっとした頭で次の作業のことなど考えもせず、瓶の口を持って持ち上げた途端、ピシッと大きな音がして持っていた口の部分から下が落ち、ぐしゃぐしゃに割れてしまった。

手の中に残っている瓶の口の部分はしっかり形が残っていたし、ぱっと見危なそうな部分もないように見えていた…けれど、その時にはすでに指から血が出ていた。

痛みとか、血の止まらない絵面とか、どちらかというとそっちの方よりもごちゃごちゃの頭の中の方が忙しかった。


「なんで今日に限って手袋してないの?いつもは一番にしてるのにね」なんて言いながら旦那さんが後片付けをしてくれているのを、手をフリフリしながら「ホントにねぇ…」と上の空で返事していた。


バンドエイドを貼った指を眺めながら「決断が鈍いんだ…」なんて思っていた。

「使えたらうれしい」そんなココロだったのは確かだけど、数回やった時に自分の手にはあまりそうだってことはわかっていた。
それでも「できることはやろう!」ってことで続けていたけれど…

あきらめが悪いとはこのことで、ちょうど今週の朝ドラのトラちゃんがトレンドで叩かれていたのと同じような「傲慢」みたいなものなのかもしれない。


「傲慢」って「えっへん!」みたいなことだけじゃないんだなぁ…
「正義感」とか「熱さ」みたいなものも入るんだなぁ…
「確かに…」って思う部分もあるけれど、これが傲慢なら…結構みんな低温で生きてんだなぁ…なんてのんきにトレンドを眺めていたけれど、それをそのまま自分に投げ返された午後となった。




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