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「ツリ」初心者  373

先日、梅雨の晴れ間に祖母の家の草取りをしていたら…
足がつった。

わたしは足がつることがほぼなくて、たまに「来るか?来るのかっ?」とそれらしい雰囲気が近づいている気配に構えて待ってみたりするのだけど…あんまりきたことがなかったので、なかなかにビビットな体験だった。

長靴だったし、その場で脱いで色々…なんてしてる間におさまるんじゃないの?ちょっと待ってればいいんじゃないの?なんて手間を省こうとしたら、ギッチーーーーっと硬直していく薬指がちょっと自分の想定外の方向へ固まりだすような感覚がして焦った。

え?あの、ちょっと…もしかして、家の中に入る余裕もなくなる感じ?っていうかギチッとして痛いよ?え?こんな痛かったことないよ?そんな強度?え?大丈夫?ちょっとヤバい?なんて思い始め、え?長ない?こんな長かったことある?え?続くん?大丈夫?なんて焦り始めたら…突然、何かガスでも抜けたかのようにヒューーんとギチギチ感が抜けていき、ことなきを得た。


人のそれを見ていると「うおぉぉーーー!」なんて言いながら足を両手で持ち上げる、みたいな印象がある。
どうも相当痛いらしい…どの痛みと並ぶくらい痛いのかなんて聞いたこともないけれど、周りから観察するに「ちょっとほっといてもらえますか」みたいな空気を感じるし、周りとしてもどうしようもないというか、落ち着くまで一緒に待つしかないみたいな…まぁまぁ「そういうもの」だけど不思議な時間の流れる感じのこと、みたいな認識だった。

あの時間にこんな痛みをご本人が感じているとは…なんか今までごめんね、と誰にというわけでもなく反省が浮かぶ。


それから草取りの間に「また来るっ?」みたいな感覚が2度ほどきたので、ちょっと今までになかった事だしと「ツリ先輩」の旦那さんに聞いてみた。

すると先輩は間髪入れず「塩。塩が足りてないよッ!」と自分が庭仕事に出る時に必ず持っていく塩をわたしの手に持たせてくれた。


どこかで見た光景じゃないか…。
大体夏場に「足がつって痛くてさぁ…」なんて話す旦那さんに「塩取ってた?食べないとー、足りてないんだよー!」なんてエラそうに言っていたのは…そう!わたしなのだ。

ホントに、なんで自分が同じ状況になるとそういう情報を忘れちゃうんだろう?
人の時には「これだ!」って即出るのに、自分の時になると「え…そんな情報ありましたっけ?」みたいな、いつだって初心者みたいなヒヨヒヨした感じになるの…なんなんだろう。

本番に弱いってヤツ?注意力が弱いの?準備が甘い?
…「自分」と「ツル」が遠い世界の「他人事」だったってことかな…。

「自分ごとですからっ!」って構えて緊張するのも違うけど、もうちょっと準備ってものを自分の時にもしましょうね、って学びとすることにする。


でもね、帰ってからもう一回忘れた頃に同じような「ツリ」が来て、裸足だったからどんなコトになっているのか興味津々で観察していたら…なんと、痛くてつっていると思っていたのは薬指じゃなくて人差し指だった…。

もはや、準備の前にそもそも自分の体感は大丈夫?という根本的な疑惑も顔を出してきたりして、なんだかひとり居心地悪く足をさすさすしていたのだった。





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