MSR Internship アルムナイ Advent Calendar 2020 (20日目)

*この投稿は、Microsoft Research Internship アルムナイ Advent Calendar 2020に関連付けされたものです。

この記事では、実際に申し込むか申し込まないかに関わらず、マイクロソフトリサーチアジア (MSRA) でのインターンに関心がある人に向けて、私の体験を少しだけご紹介いたします。

はじめに

こんにちは、和家です。マイクロソフトでリサーチャーとしてロボットティーチングの研究をしています。ロボットが家庭に導入されて、人々の生活を手助けできるような未来を目指しています。
2019年の3月までは、東京大学の博士課程で耳鳴りの神経メカニズムの研究をしていました。在学中は、VRを使った幻肢痛の緩和システムや、難聴に伴う脳神経活動の変化や、音だけで「物を見る」体験をする機械を作ったりしていました。MSRAでは、Katsushi Ikeuchi 博士のもとで、ロボットのマイクロフォンが拾うノイズを軽減することで、音声認識の性能を向上させる問題に取り組んでいました。

マイクロソフトリサーチアジアでのインターン

2017年のある寒い日に、「家がないから一週間くらい泊まらせてくれ」という連絡がきました。連絡をくれた大学院同期の兼平君はなんでも、ヨーロッパでの留学から帰ってきて北京にインターンに行くまでの一週間、滞在場所がなくて困っているということでした。そのインターン先が、その後お世話になるMSRAでした。今になって思えば、彼が連絡をくれなければ、MSRAのことを知ることも「面白そうだから自分も申し込んでみよう」と思うこともなかったと思います。さらにはマイクロソフトに入社することもなかったかもしれないと思うと、縁や運というのは不思議なものだなと思います。そういった経緯で僕は2017年の春に応募し、幸運なことに夏ごろにインタビューの連絡をいただきました。MSRAのインターンに参加させていただいたのは、2017年の12月から2018年の2月でした

もう少し一般的な話をすると、通常MSRAでのインターンは、(1)興味があるチームをみつける(2)インターン募集期間中に、希望チームを書き添えて履歴書を送る(3)マッチングできた場合、リモート面接を経て採用が決まる というプロセスだと理解しています。…とはいうものの、どこで誰が興味を持ってくれるかわからないので、「MSRAでインターンしてみたい」という気持ちがある方は、とにかく履歴書を用意して応募してみるのもいいかもしれません。インターン開始の時期は人によると思いますが、受け入れチームと本人の都合で調整可能だと思います。ただし、冬の北京はマイナス10度くらいになり、寒くて外に出たくなくなります。選択肢がある方は、あったかい時期に行くと観光なども楽しめるかもしれません。

MSRAの研究環境は、他のアルムナイの方が書かれているように、素晴らしいと思います。たくさんの研究者・インターンがひとつのフロアに入って仕事をしているのは、さながら大きな研究室のような様相です。また、朝昼晩と食堂で食べられますし、夕方にはフルーツが配られたりします。ちなみに、MSRとMSRAを比較してみると、少し雰囲気の違いはありますが、どちらも集中して研究するには申し分ない環境だと思います。申し込む時は、一緒に研究したい研究者がどちらにいるか、で決めるといいのかなと思います。

ところで、北京は東京から数時間で行けますが、やっぱり海外ということで、身構える人もいるかと思います。ただ、自分の体験としても、他のインターン生と話していても、生活のギャップで躓く人は少ないような気がします。何といっても食文化が近いですし、セブンイレブン、ユニクロなど日本でも見慣れたお店もあります。また、多くの日本からのインターン生と同じくMSRAの人は第2外国語として英語を話す人が多い印象です。ビザの準備など慣れないことは、MSRAアウトリーチチームの方々がサポートしてくれます。海外に行ったことがない人でも、十分生活できると思います。

ということで、MSRAの様子を写真で紹介します。

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もうちょっと見晴らしがいいとこから撮れよと言われそうですが、3か月お世話になったMSRA。宿舎は歩いて10分くらいのところにあります。

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中国はキャッシュレス社会ですが、少しくらいは現金があったほうがいいです。こちらは宿舎に入居するためのデポジット300元(4500円くらい)をキャッシュで支払えず立ち往生していたヨーロッパの研究者に、お金を貸したときにお礼としてその場でもらったチョコレート。こん棒くらいのサイズでした(むしろなんでこれを持ってたんだろう)。ちなみに、彼もMSRAに滞在する研究者で、仲良くなりました。

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トイレにあった、めっちゃいい匂いがするけど泡立たない石鹸。1か月くらい経ってから、これはハンドクリームだということを知りました。

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会社からとった景色。左が空気がきれいな日で、右が空気がきれいとは言えない日です。

福本さん

(少なくとも僕の)MSRAのインターンは、福本さんなしには語れません。福本さんとは、MSRAでPrincipal Researcherをされている福本雅朗博士のことです。私が配属されたチームではありませんでしたが、気さくにお話ししていただき、研究でもアドバイスをしていただきました。席が近いこともあり、しばしばお話をしに部屋まで伺ったりしました。一緒に論文も出させていただきましたし、当時MSRAで一緒に過ごした西田君と二人で福本さんの「吸気で話すマイク」の実験に参加したこともありました。このデバイスが論文になったときは、勝手に感慨深い思いをしました。このように、隣のチームと気さくにコミュニケーションしたり、共同研究ができる環境はとても良いなと思ったことを記憶しています。

福本さんはたまに食事もご一緒させていただきましたが、毎週土曜日に会社にお菓子を買って持ってきてくれます。それをみんなで食べながら、研究の話をするのがとても楽しかったです。福本さんはNTT DoCoMo Inc. で長い間研究をされていて、通信技術についての豊富な知識をお持ちです。様々なことを教えていただきました。福本さんは、現在は深圳にいらっしゃるようです。

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福本さんが買ってきてくれたお菓子の例。中にはなんと卵の黄身をしょっぱく煮込んだものと、あんこが入っていて大変おいしい。

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うまく割れませんでした。

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MSRAの各フロアにある飲み物お菓子コーナー。ここでも研究者やインターン生がお話をしています。ホットミルクにティーバッグを入れるとおいしいということを福本さんに教えていただきました(ロイヤルミルクティー?)。今でもたまにやってます。

チャイナライフ

北京にはいろいろな思い出がありますが、ここでは主に食べ物を紹介します。

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レストランで出てきたロシアの飲み物(飲み物はペットボトルで出てくることがあります)。ジンジャーエールみたいな味がしておいしかったけど何が入ってるかは不明。

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会社には食堂がいくつかあります。1食300円くらい。たくさん入れてくれます。注文は中国語でしかできないけど、前後に並んでる人にお願いすると頼んでくれます。

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麻辣湯。好きな具材を選ぶと煮込んでくれるやつ。栄養不足を感じるとここに行けば野菜を補給できます。

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火鍋や麻辣烤魚など、みんなで食べられる料理がたくさんあります。

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うなぎや、羊の串焼きなど。とってもおいしいです。

マイクロソフトに入って思ったこと

僕はマイクロソフトで、インターンのときから今まで、変わらず楽しく研究をさせていただいています。マイクロソフトの人は、自分自身の成果も重要ですが、他人と協業して相手の成功に貢献することも重要だと考えます。そのためインターンか社員かによらず、相手の専門性や経験、価値観に大変な敬意を払います。そのような環境はとても居心地がよく、安心して仕事に取り組むことができます。他のアルムナイの方々が、MSRの高い生産性について言及されていますが、それに加えて、こういった職場環境が人を引き付ける組織たるゆえんのひとつなのかもしれません。

さいごに

マイクロソフトリサーチのインターンアルムナイの方々は、アドベントカレンダーのお名前を拝見するだけでも、たいへん素晴らしい研究者や技術者の方ばかりです。諸先輩方に混じり1日分を担当させていただけたのは大変恐縮ではありますが、執筆する中で色々な記録や思い出を掘り起こすことができて、とても楽しかったです。ありがとうございました。
インターンアルムナイの方々と、これからマイクロソフトリサーチに入られる方・チャレジされ方々のますますのご発展をお祈りいたします。