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長崎はポルトガル領だった!?・世界史とつなげて学べ超日本史 ⑳Audible

「長崎はポルトガル領だった」時期がある、って知ってましたか?私はこの本を読むまで知りませんでしたし、信じられませんでした。

そんな学校の勉強では教えてくれない、サイドストーリーや歴史の「なぜ?」に答えてくれる解釈が、この本にはいろいろ出てきます。古代から江戸時代までの世界史をザックリ絡めて書いてあるので読みやすくオモシロイです。

Audibleで聴いているので、まとめが難しく、印象に残ったことを簡単にご紹介します。自分なりに整理が必要な内容の本は、Audibleではなくて、やはり文字化されているものを読むか確認しながら聞ける本がいいなぁと思いました。ご参考までに。

自分が神になろうとした信長

信長はイエズス会の布教を認め、同時に海外からの最新の情報と物資の貿易を進めます。鉄砲の使用はそれまでの戦いを大きく変え、信長を圧倒的有利にさせました。

イエズス会は信長をキリスト教に改宗させて日本の支配を企んでいたと言います。ある日、ルイス・フロイスはキリスト教にも柔軟な信長に安土城で謁見します。そこでフロイスはびっくりします。信長は安土城に城を守るための天守閣ではなく、聖堂のような天主閣を造っていました。その内部は美しく、当時の宣教師フロイスは「信長は自分が神のような存在になって国を治めようとしている」と感じたそうです。

その後、フロイスは「日本のリーダー信長をキリスト教徒にして日本支配を進めることの難しい」とポルトガルに報告しています。信長は野望を持ったイエズス会の上を行っていたのです。さすが規格外男の信長です。

朝鮮出兵と伴天連追放令をした秀吉

秀吉の朝鮮出兵は老いた秀吉の見果てぬ夢だと思っていたら、それもこの本を読むとそうでもないということがわかります。

当時、日本は戦乱が落ち着き、戦場で武功を立てることで成り立っていた武士制度がまわらなくなります。一方で、ポルトガル、スペインは次々とアジアも攻略していきます。すると戦場のなくなった武士たちの中には、守るアジア側にもポルトガル・スペイン軍にも、傭兵として海外で戦います。その強さには定評があったようです。

秀吉の朝鮮出兵は、武士に恩賞を与えるため、沿岸の貿易港を取るためではないか?と言われます。当時、スペインから、明の征服の一部隊になることを提案されますが、秀吉は拒否し、単独で朝鮮出兵をします。ここでも日本の強さを証明します。

こうした状況を見てたい宣教師たちは「ヨーロッパから遠く離れた日本を武力で侵略することは難しく、得策ではない。大名をはじめとする、キリスト教信者を増やし、まず国内で武装化させることが望ましい」と本国に報告します。

キリスト教の拡大に警戒感を強める秀吉ですが、長崎がキリシタン大名の大村純忠によってイエズス会に寄進され、ポルトガル領となり、武装化もされていることを知り、激怒します。もちろん、秀吉は長崎を没収し、日本に戻します。そしてイエズス会のアジア侵略の野望を打ち崩すために「バテレン追放令」を出します。

鎖国という国内統治政策

徳川時代の鎖国というと本当に世界と交流がない、世界を知らない時代のように思いますが、そうではありません。

江戸時代もアジア間の貿易はさかんでしたし、オランダ貿易のようにキリスト教の布教をしない貿易は長崎に限り、さかんでした。将軍にも商人たちから世界情勢も届いていました。

鎖国の大きな理由として、著者は他の大名たちが貿易によって経済力を高めて大勢力化するのを阻止するため、とも著者は解説しています。戦国時代の大名には、人身売買も積極的に進めて武器を購入していたものもいます。大名独自の自由貿易を規制し統制することで、幕府は大名の武力や経済力がおおきくなりすぎないようにコントロールする必要があったのです。

またキリスト教信者が増えることで一大勢力化することも危険視してました。前述の長崎を寄進したキリシタン大名の時代のキリスト教信者たちは宣教師に進められるがままに仏教寺院を襲撃、破壊行為をしていた、というのですから、驚きます。宗教の正義の下に日本人が日本文化を自ら進んで破壊する、そんな集団を拡大させるわけにはいかない、と思ったのは当然でしょう。

まとめ

グローバーリズムという言葉をよく聞きますが、それは近年始まったことではありません。江戸時代までのの歴史の中でも、元から侵略の攻撃が受けたり、また日本も朝鮮に侵略を目的に攻撃しています。

大航海時代のヨーロッパは世界戦略時代、日本も侵略の対象になります。それに対し、日本は、巧みな外交とリーダーシップ、運の良さで、かわしています。アジアの片隅の小国日本ですが、なかなかオモシロイ国なのです。

これまで植民地や内部崩壊の危機を乗り越えてきた日本。これからの時代も日本の歴史を消すことなく、世界と協調しながら、前に進んでいけたらいいなぁと思います。おススメの一冊です。



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