7歳までに育つ4つの感覚〜その2『生命感覚』序章

~『生命感覚』を感じにくい時代へ~
 


生命感覚のお話をする前に、一つ文明の歴史を辿ってみましょう。

イギリスでの産業革命が起こり、この時人間の『足』として鉄道が登場しました。

その後、洗濯機や炊飯器などの発明・普及により、ご飯を炊く、洗濯をするなどの多くの『家事』がスイッチ一つでできるようになりました。


やがて、テレビや掃除機、オーブン、レンジなどより『便利な』ものが登場し、人が自ら手足を動かして行っていた日常の『家事』から解放されました。

そして現在、私たちは『電脳』の社会に生きています。今まで自ら動いて行っていたこれらの家事は、ほとんどのことを家電がやってくれ、情報はテレビやネットを通して一方的にやってきます。



小さな子どもにとって、『蛇口をひねる』という行為は、とても大変なことなのです。その蛇口をひねることすら、現在の生活ではレバーやセンサーにとって代わっていますね。


私たちの日常にあるこれら『便利なもの』『便利なこと』は、高齢者や小さな子ども達からその行為を奪っ てしまうと、体の発達や維持に影響してしまいます。


便利で手足を使わない日常生活は、高齢者では十分に体を動かせずに体が衰えたりボケたりしてしまいますし、幼児では、十分な体の成長に支障が起こるかもしれません。


子ども本来の活動にとって、体を動かして日常生活を送るということはとても大切なことなのです。
 家電がその代わりをしてくれるようになると、子どもは生活の中で「傍観者」になってしまいます。


自分に密接したリアルな体験として社会と関わることを目的としているシュタイナー教育では、傍観者になっている暇はありません。


一連の運動感覚は、すべて幼少期に作られます。その幼少期を自ら体を動かし、丁寧に過ごすことこそが、シュタイナー教育の軸となっているのです。


その意味でも、現代社会にこそシュタイナー教育が重要な意味を持っているのではないでしょうか。

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