官能小説で一人称はほとんど出版されていないってこと、知ってました?
一人称とは、俺は、私は、僕は……で書かれた文章です。フランス書院文庫などの官能小説で、一人称小説はほとんど出版されていません。
ネット小説を書籍化しているジュブナイルポルノでは、一人称小説は普通に出版されているのに不思議ですよね。
はじめに人称代名詞について説明します。
メロスは激怒した(三人称)
あなたは激怒した(二人称)
俺は激怒した(一人称)
亜希子は、鈴木は、などの、名前で書かれた小説を三人称小説。
ウエブ小説によくある俺は、私は……で書かれた小説を一人称小説と言います。(なお、二人称小説は、ほとんど存在しません。芥川賞受賞作の「爪と目」ぐらいでしょうか。芥川賞に挑戦するならまだしも、エンタメ小説で二人称小説はやめておいたほうがいいと思います)
官能小説で、宇野鴻一郎先生などのごく一部の例外を除いて、一人称小説はほとんど出版されていません。
「誰も書いてないのなら、それはチャンスだ。私は一人称で書いてフランス書院文庫大賞に応募しよう。きっと受賞するわ」と考える人もいらっしゃると思います。ですが、その考え方は鬼門です。
理由はちゃんとあるのです。
僕は、で書いた場合、僕から見た範囲しか書けないから、エロ度が下がるんです。
サービスシーンは、男女両方の視点から書くほうがエロいです。三人称だと、段落や節を変えて視点をスイッチすることができますが、一人称だとスイッチできないんですね。
一般小説の新人賞には、まったく新しい感性で書かれた意欲的な小説を募集すると書いてありますが、官能小説は別です。王道をきちんと書ける作家からデビューしていきます。
官能小説には仕様書があります。まずは仕様書を守って書くこと。それがデビューの近道です。
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