廃掃法解説 特別管理産業廃棄物

皆さんこんにちは。
行政書士の若月です。

不定期更新 廃掃法解説。
今日は特別管理産業廃棄物について解説していきます。

まずは、条文を見ていきましょう。

法2条第5項
この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれのある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。

見るからに物騒な感じがしますね。

また、こちらの条文にも「政令で定める~」とあるので、これだけでは理解が進みません。
政令の方をみていくことにしましょう。

施行令第2条の4 法第2条5項の政令に定める廃棄物は次のとおりとする。
1.廃油(揮発油類、灯油を除くもの、タールピッチなど)
2.廃酸(pH2.0以下のもの)
3.廃アルカリ(pH12.5以上のもの)
4.感染性産業廃棄物
5.特定有害産業廃棄物(長いので詳細は別途解説します。)
6.環境省令で定める焼却炉から排出されたばいじん
7.ダイオキシン特措法に規定されるばいじん、燃え殻又はこれらを処理するために排出したもの
8.焼却に伴って排出された汚泥(ダイオキシン特措法で規定されたもの)
9.ばいじん(集塵機で回収されたもの)
10.燃え殻(ダイオキシン類を含むもの)
11.汚泥(ダイオキシンを含むもの)

僕は最初、これを見たところでピンとこなかったのですが、皆さんはどうでしょうか?

もう少し、それぞれの項目を深堀りしてみましょう。


灯油などが劣化して廃棄物なった場合、それを焼却炉に大量投入すると、爆発事故が起きますよね?(爆発性)

塩酸や廃ソーダ液は、間違えてぶちまけてしまえば、人体に大きなダメージを与えます。(毒性)

コロナウイルス患者の使用したワクチンの注射針は、触れると感染の危険性があるので、袋などで密閉して、専用の箱に入れて絶対に接触がないように運び出されましたよね。(感染性)

このように「注意して処理しないと大事故につながる」廃棄物を特別管理産業廃棄物と呼ぶのです。それらを細かく分類したのがこの条文です。

上記の一覧をみるとなんとなく危なっかしい印象を持つことができると思いますが、「ばいじん」は一体何なのか分かりづらいかもしれませんね。

廃棄物を焼却炉で燃やすと、燃えカスが残ります。これは「燃え殻」という品目に該当します。
焼却処理では、燃え殻以外にチリチリした細かいカスが発生するんですね。
これを吸い込むと体に悪いので、集塵機で集めるわけです。
その回収物を「ばいじん」と呼ぶのです。

ちなみに、似た言葉で「粉じん」がありますが
粉じんは物を破壊、破砕したときに発生する粉を指し
ばいじんは物を燃やしたときに発生する粉を指します。

その他、代表的なところで言うと、廃水銀、廃石綿などがあります。
サウナにかけてある温度計を捨てるときは「石綿含有産業廃棄物(普通の産業廃棄物)」ですが、それを落として割ってしまい、水銀が漏出すると「廃水銀」に変わります

廃石綿は、立体駐車場の天井などのアスベスト、いわゆる吹付け石綿などが該当します。

どちらも人体に悪影響のある物質なので、取り扱いに注意が必要なのです。

爆発性=油、燃料類
感染性=ウイルス系、病院の廃棄物

といったイメージで差し支えないですが、
毒性は化学と関連性が深く、なかなか奥が深いです。

なので、次回は「特定有害産業廃棄物」について
深堀りしていこうと思います。

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