Vol. 75 [少年野球から考えた、アメリカ文化とコーチング]

お久しぶりです。
 ほかのメール通信は、開店休業状態ですが、
 『Core Infinity 通信』を月に1回くらいは発行しないと、読者の方に申し訳ない、
 ということで、1か月ぶりの通信です。

【少年野球から考えた、アメリカ文化とコーチング】

最近、この本を読みました。

本のストーリーとしては、
 旦那さんがワシントンDCに海外赴任となり、息子さんとともにアメリカに渡った女性の話です。
 ほかの海外渡航記と違うのは、息子さんが日本で少年野球をしていて、アメリカでも少年野球を続けたというところです。
 本書は、息子さんの少年野球体験を親としてサポートする立場から書かれています。

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野球の話はおもしろかったのですが、それについては是非お読みいただくとして。

コーチングをしている私としては、

・アメリカ文化
   ・コーチング

という視点で読んだのでした。

アメリカ文化 ⇒ コーチングが受け入れられている

ということが、日本人としての常識と比べることでよくわかりました。

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まずは、『アメリカ文化』から。
 本書の少年野球の話でいうと、

・レクチームとトラベルチームがある。
      「レクチーム」レクリエーションとしての野球を楽しむチーム
      「トラベルチーム」試合で勝つことを目的として、編成されたチーム
              様々な大会があるので、各地を転戦する

・各チームは毎年トライアウトで選手を選ぶ。
    前年所属していても、トライアウトを受けなければならない。

・年齢別の大会のために、年齢ごとのチーム編成をする。
    ただし、上の年齢の大会に出ることもある。
    (例えば、U11のチームが、U12の大会に出るなど)

・実力を上げるために、実力が高いチームに所属することや、
    自信をつけるために、実力が低いチームに所属することがある。

・多くの出場機会を得るためと、レベルが様々なことを経験ために、
    複数のチームに所属することがある。

・ピッチャー、野手を含めたすべてのポジションを普段から練習し、
    試合でも交代して守る。

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コーチング的な視点からは、

・親がチーム選びの最終決断をする。

・どのチームにもコーチがいる。
    元プロ選手だったコーチもいることがある。

・どのレベルのチームでも、コーチは有料でパーソナルレッスンを提供している。

・「ドンマイ(気にするな。次に頑張れ)」ではなく、
    「Good Swing!」「Good Hit!」「Good Try!」「Good Job!」

・「Good Try!」などと言うのは、まずはその選手の親。

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もちろん、

・「パパコーチ」「パパ監督」のチームがほとんど。

・怒鳴りつけるコーチもいる。

・相手を野次ることもある。

・打力が低い選手には、バントのサインを毎回出すことがある。

・親の責任で、我が子に最適の選択肢を選べるように、情報収集し、決める。

・シーズンの途中で、選手が退団する、戦力補強する、コーチが退団する、
    といったことがある。

という、日本でもよく見かける光景もあります。

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そして、アメリカ文化と日本文化の違いについては、

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 日本の公平、アメリカの公平

改めて、この国のfairness(公平)の概念は違うなあ、と痛感する。
 日本では、同じ教育内容を等しく与えるのが公平。アメリカでは、その子その子の力に応じた教育を保証するのが公平なのだ。
 息子は、どんなテストも英和辞書を使って解くことを許された。誰も「ずるい」とは言わなかった。算数のテストで計算機を使わせてもらっている子もいた。子どもたち自身も、そういう「特別扱い」に慣れていた。
 (中略)定期試験の際は、パソコン受験を許可される生徒、別室受験を許可される生徒、試験時間が延長されている生徒・・・。たくさんの学生が、それぞれの発達障害などに応じた配慮を受けていた。周囲もそれを当たり前のことと受け止めていた。これがアメリカの「公平」なのか、と。

(P96より引用)
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文化の多様性については、

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「アメリカ人って宗教や人種・民族によって価値観がバラバラだから、意見が違う相手と無理して一緒に行動しようと思わない。(中略)だから、感情的な人を、誰も引き留めたいとは思わないんだろうね。そういう人はチームを去った方が、双方にとってハッピーなこともある、ってね」。
(中略)でも、今ならわかる。アメリカの少年スポーツは、選択肢が限りなくあるから、我が子に何を望むか、スポーツに何を求めるか、家族の価値観が常に問われる。我が子にとって何がベストなのかという問いに、他人が軽々と口をはさめるような正解はない。
(中略)それぞれの家族が必死に考え、悩み、我が子に最善と信じる道を選ぶしかない、周囲はそれを尊重し、淡々と受け入れる。(中略)相手を引き留めるばかりが友情ではない。移籍先のチームで元チームメイトの選手が活躍しているのを見て、「本当に良かった。良いチームを見つけたね」と一家の選択をほめ、その活躍を心から喜ぶ。それもまた、友情の一つの形なのだ。

(P223より引用)
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引用で、文字数を使ってしまいました。
 でも、これらすべてがないと、私が感じたことをお伝えできないと思いましたので、引用しました。

これらすべてがあって、『コーチングを活用できる社会』なのだな、と思ったのでした。

・どれだけ些細でも、できていることを認める。(日本の褒めるとは違う)
   ・それを、心から喜んでいるとあらわす。
   ・目標を持つ。
   ・目標の選択肢が限りなくある。
   ・選択肢の選ぶところから、親も一緒に悩む。(結論は決まっていない)
   ・目標達成のために、レベルの高いところに所属して技術を磨くことも、
    レベルの低いところに所属して出場する機会を増やし、自信を深めることもあり。
   ・本人にやる気があれば、個人の力に応じた「特別扱いの機会」が提供される。
   ・個人や家族が必死に考え、悩み、選ぶ。それを周囲は尊重し、淡々と受け入れる。
   ・そのような出会いと別れを繰り返す中で、出ていったチームメイトの
    活躍を知った時には、その選択をほめ、活躍を心から喜ぶ。
   ・きちんと冷静に言葉にすること。意思表示すること。
   ・レベルによらず、目的に応じたパーソナルレッスンを受けた経験がある。
   ・それは、「習い事」ではなく、「スキルアップのため」。

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だって、さらに整理すると、

・「○○になりたい」と自分の希望(=目標)を言うことは妨げられない。
   ・「○○になりたい」と思った希望に向けて努力することに何の問題もない。
   ・選択肢が多いので、目標を変えることも自由である。
   ・思いをきちんと冷静に言葉にする。
   ・グループレッスン、パーソナルレッスンの両方を使い分けられる。
   ・元チームメイトを「敵」としない。

これって、『コーチングを活用できる人』だと思いませんか?

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本書を読んで、日本文化とアメリカ文化を比較して、
 日本人って、(っと、あまり一般化しちゃいけませんが)

・(特に仕事では)自分で目標を決めることが少ない。
   ・努力は、「個人の努力」である。
   ・「目標」と「レベルアップのための方法」は常にワンセットである。
   ・「目標」と「そのためのステップ」が混同されがちである。
   ・「仲間以外は敵」という意識がある。
   ・「自分の目標達成を喜んでくれる、かつての仲間」がいるという視点がない。
   ・「違い」を前提としていないので、きちんと冷静に言葉にする経験が少ない。
   ・パーソナルレッスンを受けるのは、スポーツ、音楽をする子供のみ。
   ・パーソナルレッスンという、形のない「サービス」にお金を払うことを望まない。

これらが、アメリカ文化と違うように感じたのでした。
 だから、「コーチングを受け入れにくいし、活かしきれていないのかも」とも、思ったのでした。

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かっこよく最後を締めたいと思いますが、さて。

アメリカ文化だけが良いとは言いません。
 「日本式コーチング」というのもあるだろうと思います。
 ただ、同じ人間がやっていることです。
 役立つところは取り入れていただければと思うのです。。

・「目標」を恥ずかしがらずに言葉にしよう。
   ・「目標」のために、「戦略を練る」時間を創りましょう。
   ・今できていることを認めましょう。
   ・常に、あらゆる選択肢があることを信じましょう。
   ・かつての仲間の活躍を喜び、喜んでくれるかつての仲間を信じましょう。
   ・パーソナルレッスン、少人数のグループレッスンを使いましょう。
    (探すだけではなく、場合によっては、そのような場を自分で造りましょう)

かな。

あなたが今いる逆境を幸運に変えるコーチング
                    若狭 喜弘(Yoshi)

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