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格差社会を終わらせるコロナ恐慌

「不況」や「経済危機」と言うと、多くのひとは、2008年のリーマンショックや、80年代後半のバブル崩壊を想像するのではないだろうか。

「ナントカショック」が起こると、なんだかよくわからないけど、「景気が悪く」なって、「不況」になる。

すると「日経平均」などの「株価」が下がる。

「株価」が下がると「リストラ」や「賃下げ」が起きる。

場合によっては、モノの値段が上がったり下がったりもする。

まぁ、世の90%のひとの「不況」観というのはこんな感じなんじゃないかと思う。


普通に生きていく分にはそれで全く問題ないので、特に異論はない。

ただ、現在騒がれている「コロナ不況」は、従来型の(というかここ30年ほど主流だった金融牽引型の)不況とは違い、また新しい形の不況だということは、認識しておいて損はないと思う。

本稿では簡単に、「不況」の種類の分類と、金融不況とコロナ不況は何処がどのように違うのかを考えていきたいと思う。


「金融危機」とは何か

金融危機とは、金融(要は銀行業)によって発生する不況を指す。

めちゃくちゃ雑に言えば、金融危機とは巨大銀行の経営破綻である。

基本的に世の中というのは

銀行が金を貸す

企業がそれを元手に商売をする

企業で働く労働者が賃金として金を受け取る

という感じで、お金が流れている。

なので、銀行の社会的責任というのはとても大きい。

銀行がお金を貸せなくなると、多くの企業が活動商売を続けられなくなるからだ。

「金融不況」とは、この企業にお金を貸す役割を担っている「銀行」、それも超巨大銀行が経営破綻に陥ることで、基本的には発生する。


銀行というのは手堅い商売で、基本的にはなかなか潰れない。

そんな銀行が、なぜ潰れてしまうのか?

ハイパー雑に言うと、銀行が変な相手にお金を貸して、お金が返ってこなくなる(不良債権化)からである。

リーマンショックの時は、サブプライムローンという、アメリカの貧乏人に住宅ローンを貸し出す企画が盛大にコケて、銀行が潰れた。

日本のバブル崩壊のときも同じような感じで、実体以上に高く評価された土地を担保に貸していた融資が不良債権化して、銀行が潰れた。

まぁ他にも色々あるのだが、これはスーパー雑説明なので、

「銀行が経営に失敗したときに起こるのが金融不況」

とだけ覚えておいてくれれば良い。


さて、銀行の経営がコケて「金融不況」が起こると、社会はどうなるのか。

銀行が、企業に金を貸さなくなる。

それどころか、既に貸していた金を、無理やり回収しようとしたりもする(貸し剥がし)。

先ほど図にした経済の仕組み。

銀行が金を貸す

企業がそれを元手に商売をする

企業で働く労働者が賃金として金を受け取る

の「銀行が金を貸す」の部分が上手く機能しなくなるわけだ。

さて、すると何が起こるのか。

企業は商売ができなくなるし、企業で働く労働者は賃金を受け取れなくなる…と思いきや、ここに少しカラクリがある。


というのは、企業の中でも体力のある大企業は、有事に備えて「内部留保」という貯金のようなものを持っている。

だから銀行がお金を貸してくれなくなったとしても、大企業だけは、商売を続けることができるのだ。

もちろん、先の状況が不透明だから、大企業も、自社を守るために色々と対策を講じる。

大規模なリストラを行ったり、下請けへの圧力を強めたり、正社員を雇うのをやめていつでも首を切れる派遣社員を沢山雇ったりもする。

だから金融不況が起こると、困るのは基本的に貧乏人だ。

大銀行の経営失敗で起こった金融不況なのに、割を食うのは、体力のない中小企業や、リストラされる労働者や、不安定な雇用に置かれ続ける派遣社員たち…というなんとも不平等な構図がある。

ちなみに、大銀行は公的資金の注入を受けて、大体は生き延びる。

上級国民の垂れたクソを、下級国民が片づける。

これが代表的な「金融危機」の仕組みと、それによって生じる社会の変化だ。


「コロナ不況」の特殊な構造

金融不況とは、銀行の経営失敗によって、市中にお金が回らなくなり、中小企業と労働者が締め付けられる現象である…と前項で説明した。

では、現在進行している「コロナ不況」とは、どのような現象なのか。

これまた単純に言うと、消費者がコロナの感染を怖がって、サービス業にお金を落とさないことで生じている不況である。

いま正にコロナに怯えながら消費を自粛しているみなさんには、今更説明するまでもないだろう。


ただし、コロナ不況には興味深い特徴がある。それは、ダメージの受け方が企業規模に左右されない、つまり

大企業も、中小企業も、平等に滅びるという点だ

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