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若葉坂道(わかばさかみち)詩集

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いちにちひとつ詩を書く。なんてことをはじめました。歌詞ではなく詩。そんな詩集です。
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#自由詩

詩/消えた林檎

「消えた林檎」 詩 若葉坂道 テーブルの上には醤油と飲み残しのワインボトル 透明から見える…

詩/わたし

「わたし」 詩 若葉坂道 どうしても出来ないわたし どうしても信じられないわたし どうして…

詩/焼き肉のタレに逢いたくて

「焼き肉のタレに逢いたくて」 詩 若葉坂道 大さじ3杯の醤油の湖 調味料棚の山間(やまあい)…

詩/はなさき

「はなさき」 詩 若葉坂道 深い渓谷に転がる硬い雲の上 僕はそこで眠ってしまったようだ 片…

詩/待っている

「待っている」 何もしていない僕は 動き出す自分を待っている 待っていることをやっている…

詩/房葉(ふさば)の影

「房葉(ふさば)の影」 少し燻(くす)んだ窓ガラスの右肩に 房葉の影が揺れている 振り子のよ…

詩/びにーるそらみる

「びにーるそらみる」 ビニール空見る知るに見ず 気に入るヒールに昼に居る 西見るビールに胃に染みる 椅子に反らずに手元見る 出ずに朝寝る昼も寝る 密に居るなく ウチに居る 道に陽が差す オモテ出る 芽出る愛でてる女の子 あの子どこの子 向かいの子 向かいのコンビニ風吹いて 浮いたビニール飛んできた (はじめから)

詩/マグカップに顔を隠して

「マグカップに顔を隠して」 決まった時間に 暖簾(のれん)を仕舞うように 隣りの家が雨戸を仕…

詩/雑踏で見つけた日陰の下で

「雑踏で見つけた日陰の下で」 雑踏で見つけた日陰の下で 少し低い段差に腰を下ろした 喉が…

詩/引き出しで眠る乾電池

引き出しで眠る乾電池 どうしようもなく ホコリを被った貰い物のジャム どうしようもなく 引…

詩/はるの終わりに

はるの終わりに もう何もかもやめてしまおう なんてなんて思うこともあるのです ほつれほつ…

詩/ただいまとおかえりアナログの赤

ただいまとおかえりアナログの赤 何かを患ったプリンター 黒がないとコップの底を鳴らしてる …

詩/ただ海を眺めるきみと僕

ただ海を眺めるきみと僕 きみが作った程よく小さなホールケーキ 目の前に現れたのは夕飯の前 …

詩/晴れ間のない雨上がりで

無理のない体勢で 靴下を履く 無理のない間隔で 珈琲を飲む 無理のない眼差しで ネコを撫でる 無理のない仕事着で 玄関を開ける 無理のない感覚で 空を眺め風を感じる 無理のない肯定感で ゴミ捨て場を見送る 無理のない速度で 軽ワゴンを走らせる 無理のない動線で コンビニに車を停める 思いもしないタイミングで 助手席に伏せた携帯が震え鳴る 無理のない視線で 鳴り止むのを待つ 無理のない俯瞰で 暮れた途方がしばし晴れる 無理のない時間で 現場へと向かう 無