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『梅川』

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しぬる時は、ふたり一緒やなんて、そら…白々しい、愛する二人の前では。言葉なんか。
語ルナ、カタルナ…、語れば全部嘘になる。

生きることも死ぬことも押し付けられるのはしんどい。けど今日皆さんの前で堂々と、シンデクダサイと口説いて来た。近松門左衛門天晴れ。

たけくらべ

いま、梅川と口切を同時に稽古してるので、二人の違った人生を生きることになる。
口切は安定した環境の中で旦那さまを優しく愛してやる。
かたや、梅川は明日の世も知れぬ切迫詰まった状況で今にもここから這い出しそうだ。
色んな女がいる様にお思いだろうが、女はただ一つだ。
そして私は、その事を知るために此処に居る。

『梅川』

梅川の堰くる涙 いまこなさんの このような浮き身はだれがさすぞいな

味な一座のつきあいに 思われ染めて思いそめ 

愛しつかえに可愛いが癪 逢いたいな 見たいな病

恋し顔が薬より 按摩さんより灸とより

居あいが良うなりゃ悪う成る お袋さんのご機嫌をそこねてみえる  明日の居も

文で繰り出し口舌で飛んで よその揚屋の勤めにも

客待つ恋の鐘を恨み お前に逢う夜の暁は きぬぎぬの鳥をかこち

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梅川のくどきには ハッとするものがありますが

「せやけど 死んだひとは皆んなきれいやんか」

と思うてしまうわたしは 憧れを抱いてるんやな と思います