For me,for life.

私の仕事、グラフィックデザイナーは「依頼」がないと成り立たない仕事だと思う。デザイナーは、アーティストとは違う。

私は全くと言っていいほどに創作意欲があるタイプでなく、頼まれた時にどうしたらその人のために最善を尽くせるかを考えて考えて作るタイプなので依頼がない自主制作がとても苦手。

ただ自分の汲み取り力が足りず、依頼人と意思疎通がうまく取れなかったりするとフラストレーションは溜まることもあってこの案がとてもよかったのに…と振られた気分になることもある。

私にとってデザインとはコミュニケーションの方法で、どう頑張っても自主制作はできない!と長年思っていた。

今回、「For me」とタイトルをつけた企画を開催したのは自分らしく日々を生きて、自分の好きなものを集めて生活する友達が羨ましい、という気持ちもあった。私の趣味は漫画を読むことで、紙雑貨やファッションには疎い。周りの友達がとても敏感な子が多く、そこから情報を得ている。

最初に20-30台の女性にもっと百貨店に来てもらうための企画をたててほしいと言われて、私の周りの3人の友達を思い浮かべながら企画を立てた。

 1人目は、私からすると「お嬢様」な東京生まれで育ちの良い友人。伊勢丹も普段からよく行って良いものをよく知っている。でも100均だって行くし、安くてかわいいものもよく知っている。組み合わせるのがとても上手い。高いものも安いものもよく知っている。伊勢丹らしくない企画をしたいとは思ったけれど、伊勢丹好きの友達も喜んでくれる企画を立てたいな、と思った。

 2人目は、年を重ねながらしっかりと自分の行きたい方向へ進む友人(ここは実は2人モデルがいる)。流行を踏まえたおしゃれでありながら、自分らしさもしっかりあって、好きなものはとことん極めて行く友人。ルミネでもGUでも100均でも買い物をするけど、これだ!というものにはお金をかける。伊勢丹で素敵な服を買ったりする。デザフェスにも行くし、画廊にも行く。こんな素敵に大人になっていく友達が痺れる!と言ってくれる企画を立てたいなと思った。

3人目は、おしゃれで流行にも敏感だけれど趣味も多くお金を全部にはかけられない!伊勢丹は高いイメージがあってなかなか行けない…という友人。驚くほど安いかわいいものを見つけて、自分でリメイクしたりネットでかわいいものを見つけるのがうまい。いつかこんな服を着たい、こんな雑貨が欲しい。でも自分にはまだ早いと思っていて、でも憧れている。こんな子が伊勢丹で、一生愛せるようなものを見つけられるものが見つけられる場所に、そういったものを集めた企画を立てたいなと思った。

やっぱりデパートは買い物の殿堂で、企画書を最初に書いた時、そしてプレゼンをしたとき私の緊張も凄まじかった。一笑に付されるだろう、と思った。

でも、私の企画書は笑われることはなかったし、真剣に受け止めてもらえた。

私は、やっぱり誰かのために考えたり作ったりすることしかできなくて、それで喜ぶひとを見るのが好きだ。この企画をたてて、みんなが協力してくれて、そこに来てくれた人がいて、すべてが私のためになった。

自主制作が苦手だけれど「この人を喜ばせたい」と思ってはじめる自主制作はとても楽しい。

「企画してくれてありがとうございます」と言われてこんなに嬉しいことはない、と思う。

誰かのためになるといいなというところから始める自主制作という考え方を得て、こんなものがあったらあの人が喜んでくれるかもしれない。とものづくりがより楽しくなった。

私にも「紙と見つける 新しい暮らし」があった。


以下は最初の企画書。言い回しなどは変わって言ったけど、やりたかったことが全て叶えられた。ありがとうございます。


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