卒業後3年以内は新卒論への雑感

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで

 コロナの苦境下の中でこんな議論が湧き上がっています。「卒業後3年以内は新卒扱いで」 実際、ニュースでは経済団体にそうしてほしいと要請したと言っています。また、慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏のように卒業後5年以内は新卒扱いにしたら?という人がいるほど、時として新卒というキーワードは色んな意味合いを持ってきました。今回はこれについておもうところを書いてみたいと思います。

1.ざっくり解説~卒業後3年以内新卒扱いとは?~

 まず初めに卒業後3年以内は新卒扱いとはなんぞや?について書いてみます。通常、新卒と呼ばれるカテゴリーに該当する人は大学を卒業して次年度の4月に入社予定の人を指します(本来は高校や大学みたいにカテゴリー分けするのではなく学校と一括りするのですが、ここでは説明しやすくするために、大卒というところに軸を置いて書いていきます)。しかし、その新卒という時期に採用内定を卒業後企業での就業を希望する全員がもらえるとは限りません。そこで、卒業から3年以内(例:22歳で卒業した場合25歳までの3年間)は新卒として取り扱おうぜという話です。

2.今に始まった議論ではない卒業後3年以内は新卒扱い話

 今回のニュースでこの卒業後3年以内は新卒扱い話を聞いた人はひょっと出てきた話に聞こえるかもしれませんが、議論そのもの自体は10数年近く前からあり、2010年7月22日付で日本学術会議が政府に提言をしています。提言の中で新卒の定義についてこう記載されています。

大学を卒業して直ちに正社員に採用されなければ、その後に正社員となる可能性は非常に狭いものとなるが、このことと、正社員ではない非正規雇用の職においては、多くの場合、自らの労働の価値と生活水準を高めていく可能性が狭く閉ざされたものであることとが相俟って、卒業時に正社員に就職できなかった若者の問題を深刻なものにしている。新卒一括採用という採用方式は、その「新卒」要件が従来のように厳格に運用される場合、個人のライフコースの特定の時期にリスクを集中させるとともに、景気の変動を通じて、世代間でも特定の世代にリスクを集中させるという機能を潜在的に内在させることになると言えよう。

 この前提を基にして、新卒要件の緩和を日本学術会議は提言しています。

3.疑問1.新卒だろうが既卒だろうが

 さて、ここからはこの卒業後3年以内は新卒扱いについて思う疑問を述べてみます。自分語りとなって恐縮ですが、私が初めて就業した企業に入社したのは大学を卒業して1か月後で、大手外資系生命保険会社の現地(営業所)採用の営業社員として入社しました。マイナビが今年の10月15日に発表した調査結果によると、2018年度既卒者で内定を取得している人は45%,2019年度既卒者で43.3%,2020年度既卒者で34.4%となっています。内定先の企業がブラック企業かどうかという部分は一旦横に置いておくとして、既卒者であっても採用してくれるケースは少なからずあります。つまり、無理して卒業後3年以内を新卒扱いにすることのメリットはあるのか?という疑問があります。

 また、新卒採用で着目されるのは「何ができるようになるのか」(『採用学』服部泰宏:著 pp31)という部分なため、卒業して例えば1年2年宙ぶらりんとなった人が純粋な新卒と同じ土俵で勝負となったときに勝算はあるの?という疑問があります。

4.最後に

 他にも疑問に思う部分はありますが、今回はこの辺で終わりたいと思います。だけど、共通している疑問としては経済状況関係なく純粋な新卒で採用される人はいるし既卒になったとしても採用される人はいるという事実がある下で卒業後3年以内は新卒論が語られているとは思えないというところです。

 皆さんはどうおもいますか?

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