健康ブームで水への関心高まる(Wakaba AI)

西武セゾン・グループでは1987年4月の2週間、池袋、渋谷、船橋の西武百貨店の3店舗の婦人、紳士服コーナーに「ウオーター・バー」を設置しました。

内外の60種類を集め、無料で試飲してもらったうえで、瓶を買ってもらう形で実施したところ「こんなに種類があったのか」と若者の関心を集めました。

水専門バーのアンテナ・ショップ

欧米の動きや西武のこの実験に刺激されて、「おいしい水の会」(会長=米窪健塩尻酒造社長)では水専門バーのアンテナ・ショップに取り組みました。この会には、秩父源流水などの朝日フーヅ、エビアンのカルピス食品工業、水源地である埼玉県大滝村など13社(団体)が加入していました。

このほか、外国産として最大の輸入を誇るフランス産の発泡ミネラルウオーター「ペリエ」なども関心を寄せました。日本にも「水だけを飲ませ、売る店」が現れる時代になったのです。

ライト・ドリンクへの転換

その背景には、健康ブームの高まりで、欧米、特に米国で顕著な脱あるいは減アルコールの風潮がありました。一昔前は、飽食亡国の恐れさえあったアメリカでは、ヘルス、フィットネス(いずれも健康)一色で、ジョギングやウオーキングがうねりのような高まりを見せていました。

全国的な禁煙運動の高まりは、禁酒法ならぬ禁煙法さえ制定させかねない勢いです。このような節制、禁欲社会への流れの中で、アルコールの世界でもハード・ドリンクからライト・ドリンクへの転換が見受けられます。ライト・ビール、ワイン・クーラー、ブラッシュ・ワインなどが続々登場したのもその流れの反映です。

ヤッピーの流行

ライトからさらに一歩を進めて、ソフト・ドリンクやミネラルウオーターに切り替えたのがヤッピー(都市の若い知的職業人)です。「何年物のあのワイン」と言う代わりに「このブランドのミネラルウオーター」と語るのが、この若きエリートたちのファッションとなりました。

週刊誌「タイム」は1985年5月、このウオーター・エイジの特集を組んだほどでした。ミネラルウオーターが米国人の大好きなマティーニに取って代わったのです。

Wakaba AI(わかば・あい/ワカバ・エイアイ)