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入院(35話)

ご近所の方から「酷い症状ね〜。京都に高雄病院と言う漢方で様々な難病を良い方向に向かわせる病院があるから行っておいで」と教えられた。

早速、母が予約をしてくれたが当時ものすごく人気があった為、受診するのに1ヶ月は待たなければならなかった。

仕事を辞めてからは好きな事だけをして母と毎日過ごす中でドンドン良くはなっていたけれども他の人が私を見たらやはり心配の念が向けられた。

ようやく待ちに待った受診の日が来た。
京都駅に着いてからバスに乗り約40分で高雄病院に到着した。

見渡すかぎり緑が沢山の所だった。
空気がとても美味しく感じられた。

院長の江部康二先生が私の担当になった。

私の状態を見るなり「入院しよか。ベットの空きがあるから」と、私はワクワクしていた。

後日、入院する事になった。

とても嬉しかった。

毎日、皮膚の破れた部分が塞がるまでステロイドを全身に塗り、全身包帯グルグル巻きで過ごした。

相部屋には救急で運ばれたと言う顔が腫れ上がった日光アレルギーの人と、お風呂場で毎回お乳を絞って牛乳を出している姿が印象的な重度のアトピーの人と1つの部屋になった。

ご飯を食べる時は皆で一緒に食べるシステムでした。

食事内容は玄米と魚、野菜中心で当時はお肉が一切出てきませんでした。

癌で余命数カ月の方や、命と引き換えにステロイド治療の末、全身が酒さ様皮膚炎で入院されている方、中には、小学校低学年くらいの男の子が皮膚病で隔離室でずーっと過ごされたり様々な症状の方がいらっしゃいました。

朝はパサパサの玄米パンをそれぞれに工夫をして豆乳で食べていました。

少食を勧められていたので皆「足りない」と口にしていました。

先生にはナイショで院内の売店に行き皆それぞれに空腹をしのんでいました。

しかし、この売店に売っているものは全てオーガニックだったり天然の調味料を使ったパンやお菓子や飲み物だったので素晴らしい。

その前に自分専用のヤカンで各自調合された漢方薬を煮出して

朝、昼、晩欠かさず飲む。

お風呂も匂いがむせ返るほど心地の良い漢方風呂。
その蒸気までもが呼吸により体内に染み出て綺麗に成りそうな予感を感じさせてくれた。

今思ってもとても贅沢な経験でした。

高雄病院では太極拳を習う事が出来ました。

落ち着きのない私は病院内を行ったり来たりして大きな声で歌ったりしていました。

新しいものは大好きです。

軽い気持ちで参加しましたら「あっ、これ懐かしい!」と懐かしみの感覚になり

スラスラ〜っとゆっくりなペースでする事が出来ました。

入院中とてもハマりました。

私の持って来た前世の記憶を思い出してそこに深く感じ入りある種の瞑想状態になっていました。

身体は相当に汗をかいているけれども肉体には一切ストレスが無い状態でした。

そんなこんなで1週間もすれば全身卵の殻をむいたようツルツルお肌に成りました。

母も私の姿にとても喜んでくれました。

約10日くらいで退院をして無事に家に戻る事が出来ました。

そして、母がまた、私の新しい仕事を見つけてくれていました。

つづく

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