雪の日に

仕事が終わり、ビルから出ると雪がぽっぽと降っていた。今晩から明朝まで雪は降り続け、明日は交通が乱れるため外出時は注意が必要だと天気予報が言っていたが、確かにこれは積もるなあ、などどぼんやり考えていた。鞄の中から傘を探す手を止め、夜空を見上げると、林立するビル群の照明で思ったより明るく、降り落ちてくる雪の影は眼前に迫るほどに大きくなっていく。いつもは広く感じる夜空も今日はなんだか狭く感じた。幼少期ぶりに雪に降られてみるものいいか、と思い立ち、マフラーをきつく締め直し歩き出した。

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