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つい最近まで「環境優等生」だったEVが環境破壊者になる近未来

先日も少々否定的な意見を述べたEV(電気自動車)問題ですが、その続報といいますか、さらに深い部分で意見表明を続けたいと思います。

太陽光発電をはじめとする環境ビジネスの最前線にいる者として、EV待望論、EV救世主論のようなものには疑念を抱かざるを得ないので、今回も別の切り口から斬ってみたいと思います。
一時期と比べると、明らかに「イケイケモード」からトーンダウンしている感のあるEVブーム。そのことは世界最大手であるテスラの株価が暴落したことや、中国の過剰生産問題などを見ても明らかです。あれだけEVが世界を救う、みたいな論調があふれていましたが、今では手のひら返しです。いつも思いますが、いい加減なものです。
特にEVは中国勢の躍進が目覚ましいので、ガソリン車を叩いていたEV信者の多くは、かの国から何らかの見返りを得た上でのステルスマーケティングだったのでは?とすら思います。

そんなEVが抱える最大の環境問題は、バッテリーが一斉に寿命を迎え、その廃棄が重大な環境負荷につながることです。EVのバッテリーはリチウムイオン電池が大半で、その電池にはリチウムをはじめコバルトやニッケルなどが使用されています。これらの物質をそのまま自然界に廃棄してしまうと深刻な環境汚染を招きます。
日本では厳格な処理の基準が定められていますが、世界最大のEV大国である中国がそんな基準をまともに運用できるとは思えません。トヨタ潰し、日本車潰しのために主要国の自動車メーカーが結託してEVシフトを進めた結果、中国では人類史上最大の環境問題が起きるかもしれません。
バッテリーについては、廃棄時の「出口」だけでなく「入口」の問題もあります。世界的なEVブームによってリチウムイオン電池の需要が急増、かくしてこれらの鉱物が産出される地域で急ピッチに山が開かれ、穴が掘られています。ガソリン車を叩いていた人たちの中には「原油採掘でこれ以上穴を掘るな」と言っていた人もいましたが、これらの鉱物資源の急激な採掘による環境破壊は構わないのでしょうか。

もっとも、リチウムイオン電池のバッテリーについては、EVだけが悪者ではありません。パソコンやスマホなどさまざまな機器に用いられているので、ある意味では同罪です。しかしながらEVとは規模が全く違うため、今後EVのバッテリーが一斉に寿命を迎えた時にその深刻さに気づくことでしょう。
しかも、中国では不動産バブルの崩壊によって、こちらも人類史上最大のバブル崩壊が始まっています。国内でEVが売れなくなり、生産能力が余っています。これは過剰生産能力問題として、イタリアのG7サミットでも問題提起されました。生産能力が余っている=安く作れるということで、これから中国EVのダンピングが始まります

米国やEUでは関税を強化することによって防御のスタンスですが、もちろん中国は猛反発。報復関税などを示唆しており、国際貿易問題に発展しそうです。それなら、他の販路は?ということで次に狙われるのは日本です。すでに長澤まさみさんが出演する中国のEVメーカー、BYDのテレビCMを目にすることが多くなりました。どうせ日本はEV関税など怖くてできないと思うので、他国で売れない中国EVがどっと日本に押し寄せるでしょう。そして、10年後には大量の廃棄バッテリーが日本で環境汚染を引き起こします。

私は環境ビジネスで仕事をしている関係上、環境問題に対する誤った情報や論調に向き合うことも多々あります。世界で進んだ(ように見えた)拙速なEVシフトもその典型例で、一人ひとりがしっかりと情報リテラシーを高めて、騙されないようにすることが重要です。

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