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温室効果ガス排出量の開示を求める国の制度で、いよいよ企業の「環境品質」が問われる

省エネ法とは、その名のとおりエネルギーの消費を節約することを目的とした法律のことです。これだけだと正確ではないのでもう少し厳密に定義すると、石油や石炭といった化石燃料に依存しすぎている日本のエネルギー消費構造を変えて、もっとエコに、そして高効率にしていくための法律です。
正式な法律名は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」といいますが、このフルネームはブログ執筆のために調べて初めて知りました(笑)。

この省エネ法は一定以上の規模で化石燃料を使用している企業を対象に、省エネ化や非化石絵燃料へのエネルギー転換を促進しています。ここでいう非化石燃料というのは、要するに太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを指しています。
省エネ法は2023年に改正され、対象となる企業はエネルギー使用状況などの定期報告が義務付けられるようになりました。この報告義務には罰則もあって、報告をしなかったり嘘の報告をすると罰金刑が科せられる可能性があります。努力義務ではなく罰則のある義務ですから、国も本気であることが分かります。

この省エネ法の改正が意味することを、私なりに論じてみたいと思います。国としては報告義務を課すことで、エネルギーを大量に消費する企業に本気になってほしいと促す意図があります。もちろんただ義務を課すだけだと企業にとって負担増になるので、税の優遇などを併用して「アメとムチ」による政策を推進しています。環境対策にもっと協力させる一方で、協力してくれる企業は優遇しますよ、というわけですね。

私はこれともうひとつ、新しい効果が生まれると見ています。それは、企業のエネルギー使用に対する姿勢の可視化です。これまで、環境への取り組みに力を入れている企業はそれをアピールするための関連する情報を積極的に開示していましたが、それは優等生が優等生であることを公開していた形です。
改正省エネ法では、それだけではなく優等生ではない企業もその事実が明らかになります。ESG投資へのシフトが進むなか、エネルギー使用における化石燃料への依存度が高いままの企業は投資適格が得られず資金調達に支障をきたすようなことが起きるかもしれません。それを避けたい企業のなかには、環境対策へシフトするために重い腰を上げるところが出てくるでしょう。これこそ私が思う改正省エネ法による真の効果であり、この効果が広がることで日本の省エネ体質はより強いものになるのではないかと思っています。
資源のない日本が今後も経済的な強さを発揮し続けるには、円安や戦争など外的要因で高騰してしまうような化石燃料に頼りすぎるわけにはいきません。環境保護だけではなくエネルギー安保の観点からも、再生可能エネルギーへのシフトで日本経済を強靭化することに意義があると思います。


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