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大人の寺子屋 朝鮮戦争④

『オトナの寺子屋 シリーズ』
クローズアップ 世界史
★ 朝鮮戦争 Vol 4

 北朝鮮の精鋭部隊に前線を突破された韓国軍は、侵攻開始から 2日目、おおかたの予想どおり、前線から早々に敗走します。

 戦車や強力な火器を持つ北に対し、全く歯が立たなかったのは、誰の目にも、一目瞭然でした。

 逃げまどう兵士と市民で、道路はうめつくされました。

 その一大事に、なんと李承晩大統領と閣僚たちは、ソウル市民を見捨てて、密かにソウルを脱出し、より南へと避難したのです。

 さらに悪質なのは、ソウルが危ないことを、マスコミも隠しました。

 トルーマン大統領は、朝鮮半島で起きた衝撃的な知らせを、休暇先のミズーリで受け取りました。

 北朝鮮の侵略が、裏で操るソビエト、スターリンの、用意周到な挑戦であることを見抜いたトルーマンは、すぐにワシントンへ戻り、国連に安全保障理事会の緊急召集を要請しました。

 国連安保理は、韓国からの北朝鮮軍の即時撤退と、アメリカが求める、韓国への国連軍の派遣を決議します。

 この数週間前から、安保理をボイコットしていたソビエトは、拒否権を行使することができませんでした。
 こういうところは、昼間からウォッカをのんでいたからか、案外間抜けなのです。

 トルーマン大統領は、アメリカの空軍と海軍に、国連が制裁を決議するより前に、勇み足で、北朝鮮軍への攻撃を命じていました。

 この頃から、アメリカの意識は、常に国連の上にあったことが、よくわかります。

 歴史は、案外、国家の本音が垣間見える、こういうところが"重要"なのです。

 今のトランプも、まったく同じです。

 数日のうちに、アメリカ軍のジェット戦闘機が、ソビエト製の、旧世代の北朝鮮機を、おもしろいように撃墜し、さらに地上の北朝鮮人民軍をも攻撃しはじめました。

 おまけに、今まで遠慮して凍結していた、北朝鮮領への攻撃も始まりました。
 これは、アメリカが本気で怒ったことを示すには充分でした。

 この時点で トルーマンは、アメリカ軍の地上部隊を、朝鮮半島に送り込むべきかどうかを、日本にいた極東最高司令官ダグラス・マッカーサーに相談しています。

 その当時、マッカーサーは、ずっと日本にいて、占領政策に取り組んでいて、日本はすっかり平和を取り戻していました。

 この落差も、おそらく、半島の人が後世まで日本に恨みを持つ要因のひとつに違いないと、私は密かに思っています。

 さて、そういうことで……

 朝鮮半島で、権力争いを原因とする、民族間どうしの熾烈な殺し合いがなされていた、まさにその時代に、目と鼻の先の日本でおきた出来事を、チェックしておきましょう。

 能天気な平和と、隣国の戦争の火薬の匂いが同居している不自然さがよくわかります。

 6月28日 - 巨人の藤本英雄がプロ野球史上初の完全試合を達成。

 6月29日 - 朝鮮戦争のため、念のため、福岡県など西日本各地に空襲警戒警報が発令される。

 7月1日 - エスビー食品が、「エスビーカレー」を発売。

 7月5日 - 後楽園球場にナイター設備が完成、プロ野球はナイター時代へ突入。

 7月8日 - 警視庁がD・H・ローレンス作、伊藤整訳の『チャタレイ夫人の恋人』を猥褻文書として摘発。(チャタレー事件)実に、ろくでなし子です。

 7月11日 - 小倉黒人米兵集団脱走事件が起きる。黒人米兵約250名と、小倉警察、米軍MPとの間で市街戦が勃発。

 7月11日 - 日本労働組合総評議会が結成される。

 8月1日 - 小田急電鉄がロマンスカー(新宿駅- 箱根湯本駅間)の運行を開始。

 8月10日 - 自衛隊の前身である警察予備隊が発足。

 いかがでしょう?

 ちなみに、1950年に登場して、今も馴染みがあるヒット商品は、

 森永ミルクキャラメル
 ニッカポケットウイスキー
 トリスウイスキー
 ヤクルト乳酸飲料 
 桃屋 江戸むらさき
 黄金糖

 繰り返します。

 その時韓国は、地獄だったのです。

 そして、大統領がトンズラしたソウルの一般市民も、このあと、さらにえらいめにあうのでした。 

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