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エッセイ 洗脳
来訪者の忘れものを届ける機会があった。
その相手の家のすぐ近所に、山口だが、関西風を名乗る🐙タコ焼き屋がある。
派手な看板を見たとたんに、私の🐙タコ焼欲に火がつき、横山ノックのように、口が🐙蛸になった。
とあるイベントのために仕込んだお好み焼き系の具材が、残っていた。
けれども、さすがに、🐙蛸 はない。
「コンニャクで代用や!」
ところが、冷蔵庫の奥で、風当たりが悪かったのか、運悪く、38円で買ったコンニャクが半分凍っていた。
恐る恐る開封すると、スポンジ化していて、とてもじゃないが、食えたしろものではない。
あれこれ考え、苦肉の策で見つけたのが、ソーセージだった。
とりあえず、これに語りかける。
「お前は今日から🐙タコだ…🐙タコだ…🐙タコだ…お前は🐙タコになるんだ」
と、タイガーマスクの虎の穴のような洗脳をかけながら、細かく刻み、タコ焼きの具にした。
本当は、イワタニの「炎たこ」で焼くと、メチャ美味いのだが、さすがにまだ買っていない。本の印税が入れば、真っ先に買う予定だ。
仕方がないので、ホットプレートで焼いた。
具材は、🐙タコがソーセージに変わった時点で、正統派から逸脱して、すでに開きなおっているので、お好み焼きの余りを脈略なく全て投入する。
キャベツ、ネギ、天かす…のかわりにカッパえびせん…チクワ、紅生姜…もちろん、🐙タコになりきったソーセージ。
1回目は甘口のソースで食っていたが、ここだけのはなし、🐙タコ焼き通(つう)の関西人は、意外と醤油を好むのだ。
実は醤油の方が、たこ焼き本体の味が活きて、美味いのである。
ここで一句。
「 ソーセージ 知らずにくえば タコの味 」
言葉を繰り返して洗脳することは、悪事にも使えるが、自分の脳に刺激を与えるいい効果もあるようだ。
ちなみに、俳句の条件たる「季語」は、「🐙タコ」である。季節は「夏」。
今の時期(※ 6月末)でも使える。
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