エッセイ 一茶
子規は、一茶の俳句の特色は、主に「滑稽」「風刺」「慈愛」の三点にあると言っていますが、たしかに一理あり、それらはすべて幼少期からの境遇や、自分の性格などをバネとして集約され蓄積されてきた個性であるように思えます。
そのプロセスが、なんとなく私自身にも被るので、一茶の句は私の胃にもたれず、もっと奥の肝臓あたりで、しっくりと落ちつくのでしょう。
なにげない田舎の景色の中に、時折ドキッとするような深淵を見たり、また素朴で平易な言葉を用いてど真ん中の球を投げたり……。
私の好きな一茶の句のひとつが、これ。
《 大根引き大根で道を教えけり 》
素晴らしいです。
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