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奥さんバレる(恩師との語らい)
「せんせ、最近は、通りすがりに極道をからかったり、いじめたりする趣味は、もうやめはったんですか?」
「そうやな、だいぶ減ったな」
「お歳を召して、やっぱりちゃんと改心したんですね」
「アホか、極道の数が減ったんや」
「そっちですか……」
「クボさん…でも、この人も昔と比べたら、だいぶ丸うなりはりましたよ」……と、奥さんがすかさずフォロー。
「せんせ、山口になんか絶対に住めませんよ。たとえばジョイフルやガストみたいなファミリーレストランに行くやないですか?」
「行かんから、わからん」
「いや、仮にですよ……そういうとこに、たとえば、太田とか…普通の関学生の同窓と…まあ関西弁の人間と2人で入るとするでしょ、そうしたら、広い店内で私らのテーブルだけが浮いて、一番ガラが悪いんです。この私でさえですよ」
「どういうことや?」
「つまり、チンピラみたいなのが、街中にほとんどおらんのですわ。みんないい子で、おだやかで……」
「そうか、悪いのはみんな幕末以降、山口から出て行きよったんやな」
そこに奥さんが、思わず口をはさんでしまい、さっきフォローしたはずやのに、本性がバレてしまいました。
「クボさん、山口ってそんなとこなの? チンピラとか極道とか、居はれへんのん? そんなとこ、おもしろないわねえ……あんた」
みさかいなくチンピラをいじめる習性が、あまりにも当たり前で、そういう異次元な価値観の人と何十年も連れ添うと、どんな女性でも感覚が麻痺して、通常の一般家庭とは異なる感覚になるようです。
もともとの素質も多分にあったのでしょうが……。
やはり奥さんのスケールが、大きすぎるという事実が、はっきりと理解できました。
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