うまい。もういらない。
『まずい。もう一杯!』
どこかで聴いたことのあるこのキャッチフレーズ。確か青汁のCMだっただろうか?そういえば、10年以上前か、青汁がやたらと流行っていた気がする。クイズ番組の罰ゲーム常連。末尾に王子とつけてやたらと稼いでいた輩も。
もうすっかりブラックコーヒーを水のように摂取する年頃なので、青汁もゴクゴク行けるはず。でも今回お話ししたいのは麦汁のほう。
アウター1枚羽織ってちょうど良いこの頃になると、何もない夜は散歩をする。1駅分歩こう、いや、あともう1駅いけるな。気づいたら快速列車の駅間ぐらいの距離。
ぼんやりと散歩するのではなく、街に点在するグラフティや、街道を流す車を肴にビールを飲む。特に旧車が醸し出す独特な佇まいは何者にも代え難い。ビールがどんどん進む。
先日も夜の東京を散歩していたところ、まるでthe blue nileのジャケットの様なスポットに辿り着いた。
遠くにぼんやりと赤く光るドコモタワーの航空障害灯。乱立するビルの間をヘビのようにくねくねと首都高が走る。その重厚な柱の下にぽつんと佇む小さな自分。
もうこれは"アレ"しかないな。
道路脇のコンビニへ駆け込み、ビールを買う。銘柄はYONA YONA ALE。ほんのりとオレンジの効いたミルキーな1杯は、大変この状況にぴったりだった。
うまい。もういらない。
この瞬間に飲むからうまいんだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?