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WAIFU COUNTDOWN 2020→2021 PARTYを開催するということ

2020年大晦日、私たちは渋谷のクラブ「Contact Tokyo」でカウントダウンパーティーを開催します。客入れもする想定で、実施準備を進めています。

もともと、WAIFUは二丁目のレズビアンパーティーでトランス差別を受けた当事者とその仲間とでカウンターとしてスタートしたパーティーでした。それが定期開催するようになり、様々な試みとともにイベントを継続している中で、COVID-19の流行を迎え、2020年2月末のパーティーを最後に、長らくイベントの開催を見合わせてきました。

秋ごろ、屋外パーティーが流行りだしたタイミングで、WAIFUの屋外実施を検討したこともありましたが、適切な場所やWAIFUポリシーとの折り合いなどがつかない状況もあり、気がつけば冬を迎えてしまいました。

WAIFUのポリシーとスタンス

​WAIFUが大事にしていることは、《カウンター精神》と《セーフティーへの配慮》。
大きくはこの2つで、バックグラウンドには、クラブシーンへの愛と課題があります。
そしてクィア&フェミな視点からそれらに向き合うこと、それがWAIFUのポリシーです。

少し飛躍しますが、以前メンバー間でこのスタンスについて話したとき、いわば「正義感が強い“不良”」のような存在でありたいね、という話でまとまったことがあります。

痴漢やセクハラやトランス差別など、理不尽なものへはそれを業界の「慣習」として従わず、自分達でオルタナティブな解決方法を探り、居場所をつくる。

さて、なぜ今このタイミングでWAIFUのポリシーの話を改めてするのか。
それは、昨今のこの状況下で本当にパーティー開催するの?ということを、メンバー内でも度々悩み、ディスカッションしているからに他なりません。

選択の自由≒人権。でも、“ちゃんと考えること”とセットじゃないと他人の選択を脅かすことになる

>これまで時短営業要請を無視してたようなお店も年明けまで流石に時短するという話をちらほら聞くけど、WAIFUはどうする?

>実際のところ20代の死亡理由のダントツ一位は、コロナでも事故でもなく自殺だよね

>例えば、病気で医者に「美味しいものとお酒はやめないと死にますよ」って言われた時、「それをやめるくらいなら死んだほうがマシ」って食べ続けて死ぬことっていけないことなのかな?私はそうは思えない

>当日自分が行くことには全く抵抗ないけど、気になるのは、「誘う」「主催する」という行為に対しての責任の部分

>究極は、こちらからきちゃダメと言える人はいないけど、ほんとにめっちゃ考えて、めっちゃ来たい人だけ来て!みたいなことを、丁寧に伝えた上で開催したい

WAIFUメンバーの多くは「こんなご時世だからこそ、開催することの意義」は感じつつも、コロナ禍でのリスクに対する考え方や慎重さはかなり多様です。

答えは見つからない。それでもやってみる。

大前提として、私たちは「正解」を提示することはできません。
同時に、全てを自己責任論で割り切り、突き進むことにも迷いがあります。

そんな中、開催に大きな意義を感じているメンバーの働きかけに、これだけ多くの出演者が賛同の意を示して「一緒に何かやりたい」と集まってくれたことには、慎重派のメンバー含め「正解」とは別の大きな意味や想いの強さを感じています。

来たいなら来たらいいし、怖いと思ったら来ない方がいい。でも、本当はそんなシンプルなことだけじゃなくて、行きたい気持ち・怖い気持ち・後悔するかもしれないって気持ち・周りの人を思いやりたい気持ち、そして、思いやりかた・参加の仕方・批判の仕方・応援の仕方、色んな想いのバランスとグラデーションで、最後に選択をするのは、あなた。
優等生っぽいことを言うようだけれど、答えはもちろん一通りではないし、私たちが想定していない提案だって大歓迎。

それでも今回「やってみる」ことを決断したのは、私たちなりの一つの提案です。
不良が真面目に考えた結果、行き着いたのが「出来る限りの注意をはらい開催する」という選択でした。

開催する=強行突破で終わらせない

開催するにあたり、「行きたい」の気持ちのグラデーションに応えられるように、出来る限りのことはギリギリまで模索します。同時配信についても、実施はしたいと考えていて、とはいえクオリティの保証をどこまでできるのか、有料チケットを売れるのか、等々調整中です。

そして、出演者の方々、クラブの方とも、対策について話し合い、以下のルールを立て、挑みます。

・検温、手指消毒の実施
・通常のキャパの半数以下に人数制限する(瞬間入場者数)
・飲食時以外のマスク着用必須(入場時義務付け)
・手洗いうがいの促進(ポスター等)

また、これまでの会場では難しかったバリアフリー環境も、Contact Tokyoなら叶います。車椅子でお越しの方はエレベーターでの昇降が可能。ユニバーサルトイレもあります。
年越し蕎麦とお雑煮もヴィーガンフードでお出しします。
喫煙ブースを設け、吸う人吸わない人、双方への心地よさを提供したいです。

コロナにかかるかもしれない。コロナを移しあうかもしれない。でも防ぎきれないリスクのために鬱々として死ぬのはもっと嫌。そんな人に、来て欲しい。

どれだけ気を付けたってかかる時はかかる。無症状だったら保菌にも気が付けないかも。
それでも投げやりにならずに、リスクを減らす努力は最大限し、接触するまわりの人にも気を配る。そういう不完全な提案しか、私たちにはできません。
ここまで正直に書くと、チケットの売れ行きを左右してしまうかもしれませんが、正々堂々としか、したくないのです。

それでも一緒に踊ってくれる人、顔だけでも見に来てくれる人、会場には来れないけど応援してくれる人、気持ちを伝えてくれたら、行動で示してくれたら、私たちはめちゃくちゃ嬉しいです。自分なりにしっかり熟考して、選んでくれることは、すべて超ウェルカム。

「ステイホーム」を選択した方にも届く様に配信等に関しても、かなり前向きに検討中です。進捗があり次第、各SNSでお知らせします。

2020年と共に、家父長制や人種差別やジェンダーバイアス、私たちを苦しめるあらゆることにさよならしたいですね。
2020年12月31日、渋谷でお会いできる人も、できない人も、一緒にカウントダウンしましょう。
来たる2021年が、少しでも今より明るく、可能性の多い年になりますように。引き続き、前進の年になりますように。

(テキスト:マユコ/ディスカッション意見・監修:WAIFUメンバー)

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