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五月はいつも旅をしていた二、


続けます

🛵 旅をした時代

十年間で四国を八回、東北を七回旅した時代があった

GWと夏休みには一週間以上の休暇を連続して取得した
オートバイに野営道具を満載して旅に出かけた時代だ

一回の旅で 一日三百キロを七日間ほど走る
つまり 二千キロ余りを走り回るのだ

高速道路を使わない遠距離への挑戦
ETCの時代ではないし高速道路そのものも少ない
初日と帰路では 耐久レースのように走った
非常に冒険的で野望に溢れた旅をしていた

ムスメはまだ小さかった
なのにツマとその子を家に置いて旅に出ている
地図に細い線で載っているような『酷道』と呼ばれる道を選んで走った

今となっては あんな危険で寂しいいところをよくぞ走ったものだと思う
ぐいぐいと突き進んで山の中へ 魔に取り憑かれたように入っていった
冷静にあのころを振り返ってみなから 大きく息を吸って感心している
走ることに燃えていただけではなかった

🛵 誘なうもの

歴史街道や人々の暮らしの息吹を共感しようとしたのか
生活感を感じながら鄙びた山村を縫うようにして奥へ奥へとゆく

険しい山の中へ一人で入っていくのは 今考えてみれば未到の山岳登山に挑むようなスリリングな気持ちだったのか

何と無謀な旅をしていた事か
今になって激しく反省をする

何がそんな旅を誘ない続けたのか
取り憑かれたように 変身してしまっていた
連続休暇には 必ず旅に出た
病的だった
愚かだったとも言える(今になって)

🛵 現実からの逃避

何かから逃げ出したかったのだろうか
キャンプ場で焚き火を囲いながら出会ったばかりの旅人同士で会話が弾む
『何故 なぜ旅に出るのか』と問いかけ合う
みんなが口を揃えるように『逃避ですね』と答える

「逃げてばかりじゃ終わらない」
「逃げていても何も始まらない」

そんなことを口にもしなかったし 思いつきもしなかった

そうだ 僕も職場のストレスから解放されるために一時的に脱出してきたんだ
と思って頷き合っていたのだ
(家に置いてきた家族のことは心配しなかった)

🛵 冒険心を駆り立てる

旅は 未知なるものとの出会いが原点だ

鄙びた山村、同じように旅する人たち、地図の上を辿っただけでみたことのない景色、魅惑的な温泉‥‥

魔物に取り憑かれたように時間を確保して旅に出た時代があった

しかし
俯瞰的に見れば違った「今の」考えも湧いてくる
もう一度 新しい視点で見直してみたいと思う


続く