ドラムを買った日
「またこんな日の高いうちからドラムなんか買って」
ある日、楽器屋についフラリと訪れた僕は電子ドラムがふと目についた。
試演ができたので、思わず椅子にかけ軽く叩いてみた。他の客もいなかったのでついつい気兼ねなくだ。
なんだか楽しいぞ。それに生まれて初めて叩いたわりには上手くやれている気がする。
もちろん「やれている」は「演れている」だ。
電子ドラムだから、我が家のような住宅地でも音を気にせず気兼ねなく演れるのではないか。
一応店員さんに確認してみる。
「そうですね。ヘッドホンをすると周りはほとんど気にしなくていいくらいですよ。お家の中では多少は聞こえますが」
なるほど。
う〜〜ん。無趣味な僕は常日頃から妻にも趣味くらい作れと言われるほどだ。
休日にボーとして動画を眺めているだけの人間が側にいるのも気分の良いものではないだろう。
見ると値段も手頃で、僕のお小遣いでもなんとか買える。
そういえばリサイクルショップでも見かけた気がする。もし飽きたら売ればいいのだ。
その場で購入を決めてしまった。車で来ていたし興が乗っていたのですぐに持ち帰ることにした。早く叩き…いや、演りたい。
家に着くとすぐさま部屋に運び出し設置を行う。付属のヘッドホンは付いていたが、店員さんおすすめの物も買っておいた。さあ、準備も万端だ。
何事かと眺めていた妻が部屋のドアに寄りかかりながらこう言った。
「またこんな日の高いうちからドラムを買って」
「いや、やっぱり趣味でも始めなきゃと思ってね」
「だからと言ってこんな日の高いうちに…」
「うん。でもさ、結構安くてさ。僕のお小遣いで買ったし」
「それはもちろんそうしてもらわなきゃだけど、だからといってこんな日の高いうちに買わなくても」
「ねえ、さっきから日の高いうちって何? お酒でもないのに」
「あなた知らないの?」
「何を」
「日の高いうちにドラムを買うと親のスネアを叩けないってことわざ」
「知らないし初めて聞いたけど。それに親の死に目と親の脛がなんか混ざってない?」
「親のスネアも齧れないわよ」
「やっぱり混ざってるな。あのね、スネアドラムは齧らないし、父さんも母さんもドラムやってないよ」
「知らぬは子スネアばかり、ってね」
「やってんの!? 何で君が知ってるの。それより父さんと母さんのどっちがやってるの。なんならドラム教えて欲しいんだけど」
「そりゃもうハイハットのように上になって下になって、ついては離れてよ」
「人の親にその表現やめてくれない? でも両親ともか。 何で今まで気づかなかったんだろ」
「もちろん夜中に隠れてコッソリと」
「やめろ」
細かなセリフとかはお互い合わせながら調整しましょう
尺も足りてないのでアイデアがあればお願いします
下ネタがオチなのもアレだし
あと電子ドラムは小道具として買いますか?段ボールとかで手作りしますか?(運ぶ手間はあまり変わらない気がします)