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横浜トリエンナーレ2020

三年ぶりの横浜トリエンナーレ。

コロナの影響もあって開催も危ぶまれていたが、無事に開催、しかも国際的な芸術祭としては世界最速の開催となった。

今回のアーティスティック・ディレクターは、3名のインド人アーティスト集団「ラクス・メディア・コレクティヴ」

トリエンナーレのコンセプトは「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」

そして5つのテーマは

独学:自ら学ぶこと

発光:学んで光を外に放つこと

友情:光の中で友情を育むこと

ケア:互いをいつくしむこと

毒:世界に否応なく存在する毒と共存すること

毒との共存というキーワードが入っているのが現代的だ。

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ティナ・ハヴロック・スティーヴンス 《ゴーストクラス》(スティル), 2015

今展示で発見したお気に入りの作品の一つ。

モハーベ砂漠で、朽ち果てた飛行機の中でドラムの即興演奏をする作品。日が沈むまで行われるというから驚き……! もはやスピリチュアルといってもいいかもしれない。

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金氏 徹平 《White Discharge(フィギュア / 73)》, 2003

どこかで見たことがあるようなフィギュアが並ぶ。だけど、顔は隠されていて判別はつかない。グロテスクだけど、ポップさも感じる作品。

作者の金氏 徹平は、作家 村田紗耶香の芥川賞受賞作『コンビニ人間』の表紙のオブジェの製作者でもある。

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レーヌカ・ラジーヴ《国際的最下層に属する食糧供給者の最上から降り注ぐ力》

タイトルを見て、ぎょっとした。権力に対する憎悪を感じる。それを薄い黒い布で表現している。

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NNNI《SEX Cave of Funny Red and Busy Boy》

NNNI

Dee Leeと牧 唯による2人組アートユニットの作品

エコスフィアという、完全に閉じられた空間の水槽があります。生態系を自己完結させてしまう環境システムです。水、空気、海藻、バクテリアと、エビを入れると、光を当てる限り彼らは生き続けます。しかし、エビはそこで繁殖をしません。その理由は科学的にも解明されていません。一緒に解決策を探ってみませんか??

どうしたら、エビをセクシーに感じさせる事ができるのか?

その問いに対して「エビへのポルノグラフティ」を作る!という試み。

閉じ込められた空間で、Funny Redが挑発的に踊り、誘惑する。Busy BoyはFunny Redをテープでがんじがらめにする。

この姿は、性愛や恋愛にがんじがらめになっている滑稽で虚しいぼくたちの姿かもしれない。

横浜トリエンナーレは、横浜美術館と、プロット48と、日本郵船歴史博物館の3会場で開催している。日本郵船歴史博物館は休業日で2会場しか行けなかったけれど、刺激的な体験ができたと思う。

現代アートは自由ゆえに難しい。だけど、「わからない」ということに価値があると思うから、できれば予備知識なしに体験してみてほしい。そしてあれこれ答えの無い答えを探したり、友達と話し合ったりするのが現代アートのいい向き合い方なんじゃないかな、と思う。

8月中に行く人はこまめな水分補給はマスト!



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